今季もあるか!? J1、奇跡の大逆転残留を果たしたクラブ6選。土壇場でJ1に踏みとどまったのは?
湘南ベルマーレ(2010~2021シーズン)
監督:山口智 日本のみならず、世界中を襲った新型コロナウイルスの感染拡大。湘南ベルマーレはこの未曾有の疫病の影響を受けながらも、奇跡的なJ1残留を果たしている。 湘南は2020シーズンのJ1リーグを最下位で終えた。通常のレギュレーションであればJ2降格となるが、このシーズンはコロナ禍の真っ只中。前例の無い状況を受け、Jリーグが全カテゴリにおいて「昇格あり」「降格無し」の特例ルールを適用をしたことでJ1に留まることができた。 しかし、翌2021シーズンはこの特例ルールが湘南を危機に陥れる。2クラブがJ2から昇格し、降格クラブが無かったJ1は全22チームに。これにより2021シーズンは「昇格2・降格4」、すなわちJ1下位4クラブが自動降格するという厳しいレギュレーションになった。 このような条件で迎えた2021シーズン、湘南は開幕3連敗と低迷。一時は、第6節から第13節まで8試合無敗で11位まで順位を上げることに成功したが、残留争いから抜け出すことはできなかった。 第36節終了時点で、大分トリニータ、ベガルタ仙台、横浜FCの3クラブがJ2降格(17位以下)決定。最終節を前に、降格の可能性が残るのは清水エスパルス(15位)、湘南(16位)、徳島ヴォルティス(17位)に絞られた。 迎えた最終節、湘南はガンバ大阪相手にスコアレスドロー。しかし、清水が2-1勝利、徳島が2-4敗北となったことで湘南の残留が確定している。 特例ルール適用によって命拾いし、翌年には苦境に立たされたものの残留。2シーズンに渡る湘南の特殊な残留劇は、Jリーグ31年の歴史の中で異彩を放っている。
名古屋グランパス(2018シーズン)
監督:風間八宏 今季限りで名古屋グランパスを退団することが決定しているGKミッチェル・ランゲラック。彼が初めてJリーグの舞台に立った2018シーズンに、名古屋は劇的なJ1残留を果たしている。 2018シーズン、名古屋を率いる風間八宏監督はジョーやランゲラックといったビッグネームを獲得する大型補強を敢行。チームへの期待は否が応でも高まっていた。 その期待に応えるかのようにチームは開幕2連勝に成功。上々のスタートを切ったかに思われたが、その勢いに突然急ブレーキがかかる。 名古屋は、第4節から第11節にかけてまさかの8連敗。一気にJ2降格圏に引きずりこまれ、最下位を彷徨うことになった。大きな問題は、8試合中6試合で3失点を喫したディフェンス面である。 この状況を受け、クラブは夏の移籍市場で中谷進之介、丸山祐市ら実力派ディフェンダーを獲得した。この補強の効果は顕著に現れ、名古屋は第19節で第2節以来の白星を飾ることに成功。さらにこの試合から第25節まで7連勝を達成している。 とはいえ、前半戦の取りこぼしが響いて最後まで残留争いからは抜け出せず。最終節の湘南ベルマーレ戦では2点を先制される苦しい展開から何とかドローに持ち込み、他会場の結果を待つ状況に。最終的に得失点差でジュビロ磐田を上回り、ぎりぎりでJ1残留を決めることとなった。 苦しいシーズンとなったが、この年に獲得した選手たちが後に2021年、そして2024年のYBCルヴァンカップ制覇の原動力となる。そういう意味では、名古屋にとって2018シーズンは成功のために乗り越えなければならない試練だったのかもしれない。