猛暑対策で差が出た「夏男」新井広島と「雨男」三浦DeNA
【赤ペン! 赤坂英一】2025年は日本一の三浦ベイ、V奪回を期す新井カープの直接対決に注目したい。この両者、実は非常に熱い〝ライバル関係〟にあるのだ。 広島は新井監督就任1年目の23年、シーズン、CSでDeNAに圧勝。24年はDeNAが広島を抜いて3位に浮上し、その勢いで日本一に上り詰めた。いわば両者1勝1敗。明暗を分けたポイントは新井、三浦両監督の対照的な個性とチームマネジメントにある。 対戦成績は4年連続で広島が勝ち越し中。新井監督も23年14勝10敗1分けでCSも2連勝。24年も14勝11敗とカモにしている感が強い。三浦監督も23年、「全てにおいて向こうが上だった」ともらしたことがある。 新井監督は4番だった現役時代、よく「夏男」と呼ばれた。暑い季節にめっぽう強く、8月は3割台後半の打率をマーク。「夏も暑いのも大好き! 僕の季節が来ましたね」と胸を張っていたものだ。 だからか、ここ数年の猛暑でも広島の選手は練習熱心。本拠地の試合前は正午半ごろからグラウンドで汗を流し、新井監督も視察する。ある広島OBは「ウチはどんなに暑うても外で練習する。だから猛暑に耐えられるんよ」と豪語していた。 しかし、24年は猛暑対策を怠ったツケが9月に回ってきた。初旬の横浜3連戦で3連敗。しかも3戦目はリリーフ3連投の松本が押し出し四球でサヨナラ負けである。新井監督は「投手陣はよかった。(3連投は)これからはあると言ってあった」と釈明したが、猛暑が選手のスタミナを奪っていたのは明らか。カープはこの日首位から陥落し、歴史的大失速で4位まで落ちたのだ。 DeNAは猛暑対策のため、早くも6月からグラウンドの練習を控えていた。打撃ケージを2カ所から1か所に減らしたり、あまりにも暑い日は全体練習を全て室内にしたり。選手にアンケートを採り、様々な希望や意見を採り入れたという。 三浦監督は言った。「暑さ対策はその都度、選手の声やチームの方針で変えていきます。試合中もベンチ裏で常にトレーナーが待機してくれていますし、どうするのがベストなのか、チーム全体で考えていますから」 番長は横浜のエースだった現役時代、よく雨に降られて「雨男」と異名を取った。そのぶん気候対策にかけては「夏男」の新井監督よりも一枚上手ということだろうか。 24年は死球がらみで乱闘騒ぎも起こったこのカード、25年も〝熱い戦い〟を見せてほしい。
赤坂英一