両親が「貯金はないし、生命保険はお互いを受取人にしている。この家は長男に譲る」と言います。次男の私には何も相続されないのでしょうか?
Aさんは2人兄弟です。両親と貯金の話をしていたところ、両親に貯金はなく相続財産は実家のみ、その実家は長男に譲る予定だと聞かされました。 生命保険には加入しているそうですが、お互いを受取人にしているとのこと。次男であるAさんには何も相続されないのでしょうか? ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
遺留分侵害額請求権
Aさんのご相談の答えは「自分で行動すれば、相続されないことはない」です。 民法では、亡くなった人の兄弟姉妹以外の法定相続人に対して、遺言書などで遺留分よりも取り分が少なくなった場合には、法定相続分の2分の1まで請求することができるとされています。 ご相談者のお父さまが亡くなられた場合、遺言書などがなくて民法の法定相続分にそって遺産を分割するとなると、 ●お母さま(配偶者)は2分の1 ●長男・Aさん(子)は2分の1 これを2人で分けますから、長男・Aさんはそれぞれ4分の1ずつになります。 「全財産を長男に」などという遺言書があったとしても、遺留分侵害額請求権に基づいて法定相続分の2分の1については請求できることになるので、 ●お母さま(配偶者)は4分の1(法定相続分2分の1×遺留分割合2分の1) ●Aさん(子)は8分の1(法定相続分2分の1×遺留分割合2分の1) つまり、Aさん(次男)は長男に対して、相続財産である不動産の8分の1に相当する額について「遺留分侵害額請求権を行使できる」ということです。 ただし、これは、Aさんと兄の間で生前贈与も同程度という前提ですから、仮にAさんには長男よりも多くの資金を援助したなど生前贈与があれば、変わってきます。
2020年4月1日から「遺留分侵害額請求権」へ改正
ところで、この遺留分侵害額請求権は、2020年4月1日から民法が改正されたもので、それ以前は「遺留分減殺請求」でした。これにより、次男は、 「不動産の8分の1の共有を請求する」から、 「侵害された遺留分相当分の金銭を支払うように請求する」 になりました。