【国民年金と厚生年金の差】40年間「年収500万円」の自営業者と会社員の老齢年金を比較
自営業者や個人事業主などは国民年金に加入し、会社員や公務員は厚生年金に加入するのが一般的です。 ◆【比較】現役時代の年収が同じなら「老後の年金」国民年金と厚生年金でどれくらい変わる? 加入する年金の種類が異なると、納める保険料も異なりますが、将来受け取る年金額に違いは出るのでしょうか。 本記事では、40年間年収500万円を得ている自営業者と会社員で、年金受給額にどのくらいの差が出るのかをシミュレーションしていきます。 また、国民年金加入者が活用できる年金増額のための制度もご紹介しますので、併せてご参考ください。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
公的年金制度についておさらい
日本の公的年金制度は2階建てとなっており、1階部分は「国民年金」で20歳以上60歳未満のすべての方が加入することが義務付けられています。2階部分は「厚生年金」で、会社員や公務員といった給与所得者が加入します。 ●第1号被保険者:自営業者などは国民年金のみに加入 自営業者や個人事業主、フリーランスなど国民年金のみに加入する方は、第1号被保険に該当します。保険料は月額1万6980円(2024年度)で、40年間納付すると原則として65歳から国民年金を満額受給できます。 保険料の払い込みが難しい場合は、免除制度や納付猶予制度を利用できますが、免除や猶予を受けた分、受給額は減額されます。 ●第2号被保険者:会社員や公務員などは厚生年金に加入 会社員や公務員など給与所得者は、厚生年金に加入します。保険料は、毎月の給与から厚生年金保険料として控除されるのが一般的です。 厚生年金保険料には国民年金保険料も含まれているため、老後に受給する厚生年金には国民年金も含まれます。
年収500万円の自営業者と会社員の年金受給額比較
前章で触れたように、一般的に自営業者は国民年金に加入し、会社員や公務員は厚生年金に加入します。では、加入する年金の種類が異なると、受給できる年金額はどのくらい異なるのでしょうか。 ここでは、40年間年収500万円で自営業だった場合と会社員だった場合の、年金受給額を比較していきます。 ●年収500万円自営業の年金額は6万8000円 国民年金の受給額は、国民年金保険料の納付月数によって決まり、40年間(480ヵ月)納付すると、満額を受給できます。令和6年度は月額6万8000円、年額では81万6000円です。 国民年金受給額は現役時代の年収の影響を受けないため、年収がいくらであっても保険料を納付した月数が同じであれば同額になります。 ●年収500万円会社員の年金額は15万9200円 厚生年金は、現役時代の年収や厚生年金保険への加入期間によって受給額が異なります。年収が高いほど、また、加入期間が長いほど受給額は高額になるのが一般的です。 厚生年金受給額の計算は、平成15年3月以前の加入期間と4月以降の加入期間とに分けて行います。計算式は以下のとおりです。 〇厚生年金受給額=A+B A:平成15年3月以前の加入期間 平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月以前の加入月数 B:平成15年4月以降の加入期間 平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入月数 ここでは、加入期間が平成15年4月以降のみの場合でシミュレーションし、加入期間は40年(480ヵ月)とします。 厚生年金受給額=平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入月数 =41万6000円 ×5.481/1000×480ヵ月=109万4446円 このケースでは、厚生年金は109万4446円受給できる計算です。そこに、国民年金が満額81万6000円プラスされるので、合計で年額191万446円となります。月額では約15万9200円です。 ●自営業者の方が月額約9万円少ない 40年間年収500万円の自営業者と会社員を比較すると、65歳から受給できる年金額は、自営業者の方が月額9万円ほど少額になります。 自営業者や個人事業主など国民年金のみの加入となる方は、他の方法も利用して老後資金を準備する必要があるでしょう。