東京都議会議員補欠選挙で咲く花は何色か?今後の政局へ甚大な影響を与える“ほぼ”国政並みの都議補選9選挙区の解説!(坂本東生)
足立区
自 v.s. 立 前回都議選結果:都ファ、自民、公明、自民、共産、公明(全6議席) 欠員前会派:自民党 現職自民党都連幹事長の逝去による都議補選、無投票かと思いきや一転直接対決に 自民党は、公募により新人の女性を擁立、立憲は区議2期目の女性候補が7年ぶり2度目の出馬。女性同士の一騎打ちとなった。 欠員となった自民党候補者だけが手を挙げる無投票選挙かと目されていたが、党利党略・私利私欲・権謀術数が五月雨の如くに繰り広げられ、この2名の候補者の顔ぶれとなったようだ。『都民のため地域のため』、ひときわ大きな利他的意識の政治家が足立区の特徴であるにもかかわらず、選挙についてだけは毎度後味の悪いプロセスとなる。 自民党にとって、大物都議であり自民党都連幹事長だった故・高島直樹先生がいなくなった影響は極めて大きい。無風の選挙区に一陣の風が吹き、空中分解寸前である。陣営の現場では必死に立て直しているが間に合うか。 一方、議席のなかった立憲にとってこの混乱は千載一遇のチャンスである。何がなんでも総力戦で議席を狙うべきであろう。共産、そして公明や都ファの思惑が絡まって化学反応がおこるのか。 しかし、この際敢えてこの両陣営には苦言を呈したい。 両候補とも都議会議員を担うだけの政治執行能力を兼ね備えているのか。都政を背負えるだけの政策を提言しているのか。ひとりひとりの有権者と向き合い、全力で政治で応えようとしているか。両候補者はこの選挙に、選対の誰にも負けない熱量で向き合っているのか。 他選挙区の候補者たちが人生を賭けて戦っている熱量と比較すると、申し訳ないがそのような気概は足立区からほとんど伝わってこない。来るのは「熱量がない」という周囲からの嘆きだけだ。 選挙の魂は細部に宿る。状況は一進一退、である。
八王子市
自 v.s. 諸 前回都議選結果:公明、共産、自民、自民、立憲(全5議席) 欠員前会派:自民党 自民&都ファ 握手の象徴、結末は最後の最後まで分からない 自民党は4期目の市議を擁立。対する諸派は元都民ファースト所属で2期都議の後市長選に出馬し次点で敗北した候補者が手を挙げた。自民v.s.元都ファの一騎打ちとなる。 自民党にとっては有望な若手都議が病に倒れ急逝されたその弔い合戦である。立憲、維新、公明は来年の都議現職の改選も見据えて候補者擁立を見送った。加えて都ファは現職がいないにもかかわらず候補者擁立を見送った。これは、中野区とは逆に小池百合子都知事と萩生田光一東京都連会長による相乗りラブワゴンの成功例である。実際に先般行われた八王子市長選挙で両党の相乗りが実現している。 しかし自民党にとってはそれほど盤石であるはずの選挙体制だが情勢は極めて流動的となっている。政治不信による自民党への逆風は一向に止まる気配がない。 一方諸派の候補者は2期都議を務めた元都ファ都議会議員で、今年1月の八王子市長選挙に出馬して次点であった。知名度は堅調で、底堅い選挙戦で返り咲きを狙っている。 どちらの候補者も政治に対する熱い思いを持たれている。蓋を開けてみるまで、結果はわからない。