「今年の漢字」5度目の「金」に違和感…世相を反映しているはずなのに共感されなくなった理由
信念は絶対に変えず、伝え方を時代に合わせて修正
ただ、企画を進めるスピードは、時代に合わせて加速しなければ“共感ポイント”を逃してしまいます。 そのために漢字の募集は、現在の「今年の漢字」発表日である12月12日の「漢字の日」からスタートすることをお勧めします。この日から約10日間、「新年への思いを漢字一文字に託して、理由とともに送ってください」とインターネットで募集すれば、「漢字の日」も記念日として残すことができ、選ばれた漢字と人々の認識のズレも解消できるでしょう。 発表は「元日」がベストです。タイトルは「今年の漢字」のままで、1位に選ばれた漢字を清水寺で発表すれば、新年の話題として強烈な印象を残すことができるでしょう。元日ほど人々が未来の幸せを願う時はないからです。 また、お正月効果によって、清水寺の奥の院・千手観世音菩薩様へ揮毫した漢字を奉納している儀式が改めて注目を集め、新年を祝う風物詩として日本の伝統行事へ、さらなる進化を遂げるでしょう。 時代を超えて存在感を高めるためには、信念は絶対に変えず、伝え方を時代に合わせて修正しなければなりません。ラジオのように、共感ポイントをチューニングするようなイメージです。 たとえば、江戸時代まで女人禁制だった比叡山延暦寺とその周辺には今、オシャレなカフェが複数あって女性の人気を集めていますが、1200年以上前に最澄が灯した「不滅の法灯」は、これからも決して消えることはありません。このように信念を決して変えることなく、時代の価値観に合わせて共感ポイントをチューニングすることで、真のメッセージを伝え続けることができるのです。 「今年の漢字」も当初の企画コンセプト「人々の意思を表す漢字で、時代を表現する」を全うしながら、進化してほしいと願っています。