「ストレスに弱いJリーガー」SNSで名乗る訳…「1人でも多く救いたい」 プロ5年目・27歳の思い【インタビュー】
フットサル選手やJリーガーから届く「どうやって治したのか」の声
「メンタルの弱さを話すのって勇気がいると思うんですけど、実はそういう選手が結構いるんじゃないかっていうのもあって。自分がメンタルトレーナーから受けたことを放っておくのは勿体ないと思ったんです。少しずつでもSNSで発信していけたら、同じような症状を抱えている選手に『治るんだよ』と伝えられるのかなと」 坪川のメンタルは「プレッシャーがむしろワクワクする」というスタンスに変わった。同じ症状で悩む選手たちを「1人でも多く救いたい」。そんな思いから、メンタルトレーナー、心理カウンセラーの資格を勉強できる講座を受講。約1年間、カウンセリングする側のスキルも学んだ。 実際、いくつか反応もあった。フットサル選手として活躍する大学の同級生伝えに「ツボと同じ症状の選手がチームメイトにいるんだけど、どうやって治したのか、どうアプローチしたのかを聞きたいらしい」と話が来た。LINEや電話を通じてコンタクトを取ると「『俺もその症状はあるよ』と言ってあげると、僕自身が感じたような『俺1人じゃないんだ』みたいな様子が話してるとすごくありますね」と笑う。 親身になって相談に乗ったあと、その選手たちの動向も気にかけている。「継続的に連絡を取ってるわけじゃないんですけど、ゴール決めたとか、活躍していると、なんか個人的にも嬉しいですね。同じ悩みを持ってる選手なので」。坪川へのアプローチはJリーガーからも寄せられ、その悩みに寄り添い、アドバイスを送り続ける。 「フランクに『頑張ろうや』みたいな感じなんで、何かしたっていう感覚はないんですけどね。これしたほうがいい、あれしたほうがいいっていうことは一切なくて」と謙遜する坪川の表情には、充実感がみなぎっていた。自らの経験を、人のために――。“ストレスに弱いJリーガー”はピッチ外でも奔走する。 [プロフィール] 坪川潤之(つぼかわ・ひろゆき)/1997年5月15日生まれ、北海道出身。矢板中央高校―東洋大学―AC長野パルセイロ―カターレ富山。2020年に東洋大から長野入り。同年6月の富山戦でJリーグデビューを飾る。22年シーズン後に契約満了となり長野を退団。翌年から富山へ完全移籍し、在籍2シーズン目を迎えている。
FOOTBALL ZONE編集部・橋本 啓 / Akira Hashimoto