PXG『Black Ops』のコンセプトは「飛距離を犠牲にしない高い寛容性」。開発者に直撃インタビュー!
2024年1月24日に発売するPXGの最新クラブ『Black Ops(オプス/オペレーションの意味)』シリーズ。ラインナップはドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッドで、このシリーズを開発したカレブ・クロロフ氏にインタビューする機会を得た。『Black Ops』のコンセプトや、PXGの開発理念について聞いた。
インターネット関連企業で大成功を収めたボブ・パーソンズが「これまでにない最高のゴルフクラブを作りたい」という信念で、2014年に誕生したのが「Parsons Xtreme Golf(PXG)」だ。開発コストや時間を気にせず、高いパフォーマンス性を追求したモノ作りで評価されているメーカーで、これまで『GEN』シリーズを展開してきた。しかし、1月24日に発売するモデルから『Black Ops』シリーズと名称が変更。その開発者のクロロフ氏は「今回のモデルのコンセプトは『飛距離を犠牲にしない高い寛容性』です」という。 この「飛距離」と「寛容性」というのは、2024年に発表になったキャロウェイ、テーラーメイド、ピンの理念と一緒だ。しかし、話を聞いてみると、他メーカーとは「飛距離」という部分でアプローチ方法が異なっていた。 端的にいえば、キャロウェイはフェース構造で芯をズレても初速を落とさない、テーラーメイドとピンはトータル慣性モーメントを最大化することで打点がブレても方向性がバラつかず、結果として飛距離が落ちないという考え方だ。 一方、PXGは「重心位置を深く、低くすることで、打ち出し角が高くなり、その恩恵でロフト角を立てることができる。その結果、ボール初速と低スピン化が可能になり飛距離が担保される」という。
「セオリーとして、高い寛容性を求めるには重心をヘッド後方に持ってくる必要があり、ボール初速を速くするためには浅重心にしなければなりません。この2つの相反する関係をバランスよく考えなければなりません」とクロロフ氏。 「そもそも、飛距離には“ボール初速”、“打ち出し角”、“スピン量”が密接に関係してきます。今回のシリーズではどのように飛距離アップするかと考えたときに“ボール初速”よりも“打ち出し角”に重点を置いて開発しました。前述のように、高い寛容性を確保するには重心をヘッド後方に持っていく必要があるのですが、この重心位置により、高い打ち出し角が確保されるのです。この理由は、重心がヘッド後方にあることで、ダウンスウィングからインパクトにかけて、ヘッドが後方に垂れやすくなり、インパクト時のロフト角が増えることが挙げられます。また、出来るだけ低重心にるすことで、フェース面上の重心位置(スイートスポット)を低くでき、そのスイートスポットよりも上に当たるとインパクトの衝撃でフェースが上を向くのです。この2つの理由から打ち出し角が高くなり、また低重心化でスピン量も抑えられるので、さらに飛距離アップが見込めるのです」という。 この重心位置にできた理由をクロロフ氏は「カーボンファイバーの使い方とPXG独自のウェイトポートによる」と説明する。 「PXGでは、カーボンファイバーの面積をいかに大きくできるかを追求しています。その面積が大きければ大きいほど余剰重量が生まれるためです。ちなみに、チタンやカーボンよりも適した素材を日夜探していますが、素材選びだけでなく、それをどこにどれだけ使えるのか。そして、それによってパフォーマンスがどのくらい上がるのかが重要です。いくら革新的な素材を使用しても、パフォーマンスが上がらなければ意味がないのです。 また、競合メーカーとの差別化としては、ウェイトポートの位置とウェイトの種類が挙げられます。他社によく見られる“スライドシステム”は実は効率が悪いと弊社は考えます。もちろん、微調整が可能なことはわかりますが、スライドウェイトの“道”に重量をさかなければならず、そこに重量を持っていかれるデメリットのほうが大きいのです。また、3つあるウェイトポートは各ポジションが適正距離で離れており、ウェイトの種類をたくさん用意しているので、どんなプレーヤーにもしっかり対応できます。ちなみに、低重心設計にするためにフェースすぐ後ろにウェイトポートを置いたこともあったのですが、打音が悪くなってしまい、辞めました。もちろんリブを設置することで打音は良くできるのですが、そのリブを付けたせいでその部分のウェイトが重くなり、パフォーマンスが低下したというデメリットがありました。考え方としては、トランポリンの真ん中のように柔らかいところは振動が大きいのですが、そこに硬いポートを置くことで振動が遮られ、音が悪くなるイメージです。それなら、いまの3カ所のままのほうがいいという判断なのです」とクロロフ氏。
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