PXG『Black Ops』のコンセプトは「飛距離を犠牲にしない高い寛容性」。開発者に直撃インタビュー!
少し話がそれてしまうが、打音の話が出たので、素朴な疑問を投げかけてみた。それは打音の“良し悪し”とは何なのかということだ。これに対して、クロロフ氏は微笑みながら「実際、打音は個人的な主観が大きいと思いますが……、調査をすると大きく大別することはできました。ゆっくりスウィングするプレーヤー(基本的にはアベレージゴルファー)は大きな音を、上級者やツアープレーヤーは小さい音を好むのです。ただ、共通して言えるのは、どちらも反響が短いほうを“良い”と感じる傾向はあります。反響が短いというのは余韻が長くないという意味です。とはいえ、打音に対しては流行り廃りがあって、かつて『いいな』と思っても10年後には響きすぎていると思うこともあるのです。また、いろいろな機能を搭載しようとすると、打音がどうなるのかを検証するのですが、最近ではコンピュータシミュレーションを使用しているので、打音の検証は高速化できていて、昔は1日かかっていたことも一瞬でできる時代になったのは喜ばしいです」とのことだ。 そうなると、さらなる疑問が。AIやコンピュータを使うことで、開発周期が早くなるのではないかということだ。一般的なアマチュアゴルファーは新製品だからと言っておいそれと購入することはできず、開発周期の早まりは、良くないのでは、と質問すると、「PXGについては、新製品の発表時期を決めていません。自分たちの納得できる、いままでと大きく違うものができたときだけ発売するという創業者の理念があります。ですので、1年で発売することもあれば、数年間、新製品を出さないこともあるのです。ちなみに、コンピュータを使うことで、理論的には高速回転させて開発期間を短くすることは可能です。ヘッド形状によるパフォーマンスの違いなどは、本当にすぐにできます。物理的なモノを造るまでは早くできるようになったんですが、プロトタイプを造り始めると、また違ってきます。理論値と現実が必ずしも一致するとは限らないのです。ちなみに、この『Black Ops』シリーズは『GEN6』シリーズの発表前から開発はスタートしています。開発コンセプトは並行して走っているので、具体的に『Black Ops』の開発スタートはいつかと言われると答えられないのです」とのこと。 前回の『GEN6』シリーズと今回の『BlackOps』シリーズの違いを聞くと、「使用した素材でいえば、フェース面に独自のチタン合金素材を採用しました。従来と比べ、強度が増し、弾性もあるので、初速を上げることが可能になりました。また、スタンダードモデル『Black Ops ドライバー』に8度のロフト角をラインナップしました。それは打ち出し角が高くできたので、ロフトを立てて使いたいプレーヤーが増えると判断したからです。打ち出し角の高さは多くのゴルファーにとってプラスに働く、PXG史上最高に打ち出し角が高いモデルになりました。ちなみに、ドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッドのコンセプトはすべて同じですが、クラブによって必要な要素は少し変わってきます。たとえば、地面から打つクラブのソールにカーボンファイバーは不要、といった感じに」という。 インタビュー前に『Black Ops』シリーズを試打したが、自分のクラブではロフト角10.5度でも球が上がらず悩んでいた筆者でも、『Black Ops ドライバー』の9度を打つと、自分のクラブをはるかに上回る高打ち出しを実現し、かなり驚いた。その話をクロロフ氏にすると「製品の性能をわかってもらえてとても嬉しいです」と笑顔。もし、近くのショップや工房で『Black Ops』の試打クラブを見かけたら、一度手にしてみてはいかがだろうか。
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