【BC】皮膚科医が西海岸で…デルマソトガケ浅沼オーナー「楽しんでいれば長生きする」/連載
<西海岸デルマーで米を食う(3)> 遠征馬の馬主関係者が語る「西海岸デルマーで米を食う」第3回はデルマソトガケ(牡4、音無)を所有する浅沼広幸オーナー(74)に思いを聞いた。昨年2着馬が本番で一発を狙っている。 ◇ ◇ ◇ 直感に刺さる出会いだった。デルマソトガケを所有する浅沼広幸オーナーはこれまで470頭以上もの所有馬を中央競馬に送り出してきた。21年セレクトセール。運命を感じた1頭が昨年のBCクラシック2着馬だった。「走る、走らないという思いを抜きで決めたんですよ」。馬を見て、珍しい感情を抱いた。「きれいな馬だな」。栗毛の1歳馬。血統構成を見ずに、1800万円で競り落としていた。 ずっと夢の中にいる。浅沼オーナーは「今の生活は競馬中心」と話す。16年に膵臓(すいぞう)がんにかかり、18年には脳梗塞と大病が続いた。「いつ死ぬかもわからないから、馬で余生を楽しもうと思っています。楽しんでいれば、長生きするものだと思うので」。北海道千歳市内で病院を開業し、馬券好きが高じて馬主になって30年超。世界最高のダート競走に2年連続で所有馬が出る。これほど励みになる日々はない。 本場でこそ、の思いが強い。適性は日本の深い砂より米国の馬場にあると信じる。「日テレ盃で惨敗したように日本の深い砂は合わないんですよ。サウジは日本寄りの馬場。ドバイ、アメリカのいわゆる土の馬場が合う」。昨年のUAEダービーは史上2位の走破時計による6馬身差勝ちでもあった。「望外の2着」と振り返る昨年の力走はフロックではないはずだ。今年の舞台は小回り。先行力で歴史的勝利を狙いにいく。「ルメールさんも抜かりないですから。験を担ぐわけではないけど、“デルマ”がデルマーで…、好走してもらいたいです」。【松田直樹】 ◆冠名「デルマ」 馬主の浅沼氏が皮膚科医(デルマトロジスト)であることに由来する。これまでに18年兵庫ジュニアグランプリ、19年名古屋グランプリを制したデルマルーヴル、11年クイーンC3着で牝馬3冠を完走したデルマドゥルガーなどが活躍している。