米証券市場暴落の震源地「AIバブル論」…それでも投資を止められないビッグテック
「1990年代後半にドットコム企業で起きたバブル現象は、人工知能(AI)分野でも起きる可能性が高い。審判の日が近づいている。巨大企業がAIに投資するとしても、iPhoneやインターネットに匹敵する経済革命は起きないだろうし、その約束に後押しされて急騰したすべての株式も暴落するだろう。」 7月、ゴールドマンサックスの株式リサーチ責任者であるジム・コベロ氏が出した報告書だ。昨年までは、AIのおかげで今後10年間は世界の国内総生産(GDP)が7%増加するだろうというバラ色の展望を出したゴールドマンサックスだ。すでに5月、マサチューセッツ工科大学(MIT)のダロン・アジェモール教授もやはりAIの生産性に関する予測が誇張され、むしろ不平等と弊害だけが大きくなることを警告した状況だった。 このような「AIバブル論」が最近、米ビッグテック(アップル・マイクロソフト・メタ・アマゾン・アルファベット・テスラ)企業の第2四半期の実績発表と株価下落以後、いっそう拡散している。3日(現地時間)、ブルームバーグはこれらの企業の利益増加率が29.9%で、昨年第4四半期(56.8%)と今年第1四半期(50.7%)より鈍化し、「今後第3四半期(17.2%)と第4四半期(18.7%)には今よりさらに低くなる見通しであり、投資家らがもはやAIの可能性に共感していない」と報道した。 「バブル論」が広がる理由は、莫大な投資で作り出した「AIモデル」が「収益化」につながっていないためだ。2022年末、OpenAIが「ChatGPT」を出した後、ビッグテックは競ってより巨大なデータ、より大きなコンピューティングパワーに資金を投資した。しかし、収益はインフラ構築に必要なハードウェアを提供したNVIDIA(エヌビディア)などが持っていっただけだ。米国のベンチャーキャピタル(VC)であるセコイアキャピタルは6月、「AIに投入された資金を考慮すれば、技術業界が年6000億ドルの売上を上げなければならないが、道は遠い」と明らかにした。 さらに強度の高い「懐疑論」もある。シカゴ大学のベン・ジャオ教授はハンギョレに「巨大な生成AIモデルは燻製ニシンの虚偽(猟犬の注意をそらすための偽情報)に過ぎず、これが人類のための技術だという話は誇大広告とマーケティングの貪欲さを隠すためのトリックであり、ここに資金があまりにも集中している」と懸念を語った。 しかし、ビッグテックがAI投資を止めることは容易でない。ブルームバーグは先月、ビッグテックがAI投資を再考すれば、株式市場が低迷するリスクがあると警告した。AIブームに支えられ、莫大な株価上昇を味わったビッグテックの立場としては、投資を通じたラリーを続けるしかない状況だという話だ。 フィナンシャルタイムズは2日、今年上半期のマイクロソフト、アマゾン、メタ、アルファベットによるAI関連投資は計1060億ドルで、昨年同期の投資額より50%増加したと報じた。メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営者は先月31日、「未来の予測は難しいが、(AIの)力量を確保しておいた方が良い」と話した。アマゾンも「生成AIなど強力な需要が続いているため、下半期の投資をさらに増やすだろう」と明らかにした。 イム・ジソン、パク・チヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )