アートディレクター大島依提亜 知られざる映画ポスターの世界
WWD:ファッションの仕事を担当されたことはありますか?
大島:デザイナーとして駆け出しの頃は、ファッションのカタログをよく作っていました。ユナイテッドアローズやベイクルーズなどのセレクトショップが多かったです。当時はSNSもなく、紙媒体がとても重要だったので、かなり実験的なデザインに挑戦していました。ページごとに紙の形状を変えたり、何度も折り畳んだ正方形に近い判型にしてみたり。海外ロケに行かせてもらうこともありました。
WWD:本当ですね、今のカタログにはない攻めたデザインばかりです。
大島:当時のカタログ作りの経験は、今のポスターやパンフレットのデザインにも生きています。「ミッドサマー」のパンフレットは、劇中に登場する聖典をモチーフにして、ページの端の形状に変化をつけました。これは、先ほどのカタログとリンクするアイデアです。当時とは時代背景も全然違うから、久しぶりに作ってみたら面白いかもしれませんね。
WWD:これからデザインしたい作品はありますか?
大島:挙げたらキリがありません(笑)。ここ最近は特に面白い映画がたくさんありますから。ポスターを作る一番の原動力も、映画の面白さをより多くの人に伝えること。これからも真摯に映画と向き合い、作品に触れるきっかけを増やすことができれば、デザイナー冥利につきますね。