なでしこジャパン W杯2連覇はできるのか
イタリアを1対0で下した余韻がまだ残る、南長野運動公園総合球技場のピッチで28日に行われたW杯カナダ大会への壮行セレモニー。佐々木則夫監督に続いてマイクを握ったキャプテンのMF宮間あや(岡山湯郷Belle)が口にした決意が、なでしこジャパンの現状を如実に物語っていた。 「まだまだ足りないところがあると思います。完璧な状態にして、チーム一丸となって戦ってきます」 開幕前で最後となる実戦を終えた段階で、まだなお求める点とは何なのか。セレモニーを終えた後の取材エリアで、宮間は攻撃における課題を指摘した。 「相手の前で揺さぶることはできても、(最終ラインの)背後を突けていない。自分としてはまだまだだと思っています」 イタリア戦の先発メンバーは、全員が4年前の歓喜を経験している選手たちだった。右足首を痛めて別メニュー調整が続いていた阪口夢穂(日テレ・ベレーザ)も復帰し、あうんの呼吸でプレーできる澤穂希(INAC神戸レオネッサ)とダブルボランチを組んだ。 ピッチ上の11人がお互いを知り尽くしているがゆえに、ストロングポイントを前面に押し出してくる。なでしこジャパンに世界一をもたらした武器はパスワーク。しかし、抱いている自信がときに落とし穴にはまる原因となることもある。 ボールポゼッションで58.3%とイタリアを上回り、11本のシュートを放ちながら、後半7分にエースストライカーの大儀見優季(ヴォルフスブルク)があげた1点止まり。ヨーロッパ予選で敗れ、W杯に出場しないイタリアが相手だったことを考えれば物足りなさは拭えない。 宮間が指摘した「揺さぶることはできた」は、綺麗なパス回しからの崩しにこだわりすぎていた点への反省でもあった。なでしこのスタイルは、すでに世界各国へ知れ渡っている。ポゼッションに綻びを生じさせようと、起点となるダブルボランチへ執拗にプレッシャーをかけてくる。 安定感が必ずしも対戦相手に脅威を与えるとは限らない。ポゼッションに加えて時には強引な攻撃を織り交ぜなければ、W杯本番で勝利を手にすることは至難の業となる。佐々木監督も試合後の会見で、選手たちに厳しく注文をつけたことを明らかにした。 「人を見るんじゃなくてゴールを見ろと選手たちには言いました。ミドルシュートも少ない。余裕を持ってパスを出せるならシュートを狙えと。シュートがあるからスルーパスもつながる。大きな反省です」