フランス内閣への不信任可決、58年以降最短で総辞職-混迷深まる恐れ
(ブルームバーグ): フランス国民議会(下院)は4日、バルニエ首相率いる内閣への不信任決議案を賛成多数で可決した。左派連合「新人民戦線」に加え、最大議席を持つ極右・国民連合(RN)も支持に回った。年末の予算期限直前で政府が崩壊することとなり、国民生活や金融市場への影響が懸念される。
バルニエ首相は2日、2025年度政府予算案のうちの社会保障財源法案について、議会採決を経ずに成立させる憲法の特例条項を行使すると表明した。この対抗措置として、野党側が不信任案を提出した。
9月に就任したバルニエ首相の在任期間は約2カ月半と、1958年の第5共和制成立以降で最短となった。議会による不信任は、1962年のポンピドゥー内閣以来62年ぶりのことだ。長期にわたる政治の混迷が予想され、投資家の不安が一層高まりそうだ。
今の政治的混乱のきっかけをつくったのはマクロン大統領だったといえる。マクロン氏は6月、欧州議会選で極右政党が躍進し、与党連合が大敗したことを受け、巻き返しを図るため国民議会を解散し、総選挙を実施すると突然発表した。しかし、国民議会選の結果、マリーヌ・ルペン氏が実質的に率いるRNが最大勢力となり、同氏の影響力が拡大。マクロン氏の中道与党連合は後退を余儀なくされた。
マクロン大統領は5日午後8時(日本時間6日午前4時)に声明を発表する予定だ。
ルペン氏は4日議員らに対し、「私が不信任投票を通じて大惨事をもたらす政策を選ぶことに熱心だと考える人々には、このような予算案を非難しないことこそ、破滅的な政策だと伝えたい。この短命内閣は終わりだ」と語った。
その一方で、予算案策定での協議を前提に別の内閣と協力する用意があり、「全ての人が受け入れ可能な予算」が必要だとテレビ番組のインタビューで発言した。
25年度予算案を成立させるには、次の首相を任命する必要があり、マクロン大統領にその権限がある。だが、国民議会が絶対多数政党不在のハングパーラメントとなる現状では、バルニエ氏への限定的な支持も長い苦闘の末、ようやく得られた経緯がある。