「更年期は歯と口腔の健康にも大きく影響します」歯周病やドライマウス、出血も…米歯科医が対処法を解説
更年期の影響は、感情や体温を含む心身の至るところに現れる。歯と口腔も例外ではなく、更年期には唾液の分泌量が減ったり、口腔灼熱症候群(詳細は後ほど)と呼ばれる問題が起きたりしがち。どれもホルモンバランスの変化によって引き起こされる症状で、ほとんどの人は気付かない。 【写真】更年期の体重増加を防ぐために必要な6つのこと 実際、米国の歯科保険会社デルタ・デンタルが発表した2023年の調査結果によると、50歳以上の女性の84%は更年期が口腔の健康に影響を与える可能性があることを知らなかった。でも、知識は力なり。これは更年期の女性にとって、デンタル・オーラルケアを意識するいいきかっけになるはずだ。 ※この記事はアメリカ版ウィメンズへルスからの翻訳をもとに、日本版ウィメンズヘルスが編集して掲載しています。
更年期が歯と口腔に与える影響
ニューヨーク市のデンタルオフィスTendの歯科医、クロエ・ツァン歯学博士によると、更年期の女性は、ドライマウス、歯肉炎、歯周病、歯の知覚過敏や痛み、骨粗しょう症の影響、歯茎の出血、味覚の変化などに悩まされることがある。こうした変化は、エストロゲンの減少に伴って、起こるとしても徐々に起こる。 「エストロゲンの減少は実にさまざま、かつ複雑な影響をもたらしますが、骨密度と炎症にはとくに大きな影響を与えます」とツァン医師。歯は骨によって支えられているため、骨密度が低下すると歯が動きやすくなるだけでなく、歯茎と歯の間に細菌が入り込み、歯茎の感染症(歯肉炎や歯周病)につながることも。 エストロゲンは炎症の調節においても重要な役割を果たすため、更年期にエストロゲンが減少すると、炎症が増幅する。ツァン医師によると、それが歯茎の健康に影響を与え、歯茎が腫れる、口の中が苦い/金属の味がする、出血するなどの症状を引き起こすことがある。 ツァン医師いわく口腔灼熱症候群も更年期に起こりうる問題の1つで、口の中の灼熱感、ピリピリ感、しびれ、刺すような痛みなどの症状を特徴とする。原因は明らかになっていないけれど、これもまた更年期のホルモン変動に関係しているとされている。