久保建英の能力開花にも貢献 レバークーゼン、アーセナル...バスク人監督が成功する理由
間もなく開幕するEURO2024で、スペイン代表を指揮するのが、ルイス・デ・ラ・フエンテ監督である。 【画像】日本代表 2026年のメンバーはこうなる! 識者が予想 デ・ラ・フエンテはスペイン、リオハ出身だが、父がバスク系で、幼い頃から「バスク純血主義」(血縁としてのバスク人、もしくは幼少からバスクで暮らし、バスクでユース年代を過ごした選手のみで構成)で知られるアスレティック・ビルバオに入団し、薫陶を受けて育った。アスレティックの左サイドバックとして200試合以上に出場、80年代にラ・リーガ連覇やスペイン国王杯優勝を果たしている。 1994年に引退後は、育成年代の監督として頭角を現した。セビージャユース時代にはセルヒオ・ラモス、ヘスス・ナバスを育て上げ(今回、38歳のナバスを代表に選出している)、代表でもアンダー世代の監督を歴任。2019年のU-21欧州選手権優勝、2021年の東京五輪準優勝を経て、代表監督に就任した。育成からの麾下選手を土台に、2023年にネーションズリーグで優勝し、EURO本大会に導いている。 「もともとバスク人だけ、という限られた人材での戦いを極めてきたことで、堅実で綿密な指導ができるし、何より力を束ねられる」 バスク人監督デ・ラ・フエンテ評のひとつである。派手さはないが、集団力を高められるというのか――。 バスク地方はスペインの北(フランス・バスクにもまたがる)、バスク自治州及びナバーラ州を指す。人口は260万人程度。バスク自治州とはビスカヤ県、ギプスコア県、アラバ県の3県。たとえばアスレティックはビスカヤ県のビルバオ、久保建英が所属するレアル・ソシエダはギプスコア県のサンセバスティアンが本拠だ。 バスク人はスペイン人と比べても独自の文化(スポーツでも、ペロタがサッカーと並ぶ人気競技である)を持ち、欧州にはない言語体系のバスク語が公用語で、体格も大柄である。血液型はRHマイナスの割合が遺伝型で60%(日本人は0.5%)と、他の民族と一線を画している。ローマ帝国やイスラム勢力の侵略を許さず、独立を保った長い歴史が影響しているとも言われている。