久保建英の能力開花にも貢献 レバークーゼン、アーセナル...バスク人監督が成功する理由
【「集団で戦う」という精神】 他にも、アンドニ・イラオラ監督はプレミアリーグのボーンマスで名声を高めている。元スペイン代表監督のフレン・ロペテギも、来シーズンはウェストハムの監督就任が決定。オサスナを率いたハゴバ・アラサテ監督は昨シーズンのスペイン国王杯ファイナリストで、ホセバ・エチェベリア監督はエイバルを1部昇格に手が届くところまで引き上げている。フアン・マヌエル・リージョは現在、マンチェスター・シティの参謀だ。 レアル・ソシエダを率いるイマノル・アルグアシル監督を忘れてはならない。CLベスト16は、クラブ規模を考えたら快挙。久保建英の能力を開花させ、その人心掌握は特筆に値する。 「バスク人選手が特に優れているのは、『集団で戦う』という精神ではないでしょうか」 バスク代表監督(FIFA未公認だが、バスク人指導者に与えられる最高名誉職で、他にハビエル・イルレタ、ハビエル・クレメンテなどが務めた)を10年以上にわたって務め、「バスクサッカーの父」とも言われるミケル・エチャリは言う。エチャリはSportiva(スポルティーバ)のご意見番としてもおなじみだが、アロンソ、エメリ、アラサテ、エチェベリア、リージョなどとは"師弟関係"にあり、監督養成学校の教授も務めてきた。 「サッカーは11人対11人の戦いです。それぞれが持ち場を守り、足りない部分を補い合い、最後まで死力を尽くす。その様子が、"バスクサッカーは強く、激しく戦う"と映るのかもしれません。ただ、本質は集団性を重んじる点にあります。監督は選手たちを束ね、決断できるか。そこでの団結力こそ、戦いのモットーとすべきです」 監督は、選手をひとつにできるか。リーダーの人間性はチームに反映する。凡将のもとで選手は輝かない。
小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki