ホンダとの統合で日産が意外と貢献?実は業界で一番乗りできそうな“技術”があった!
● 日産のミニバン「セレナ」e-POWERの燃費 トヨタ「ノア」ホンダ「ステップワゴン」と比較すると… 一方でこのe-POWERは、エンジンを発電のみに用いるシリーズハイブリッド方式を取っているため、エンジンパワーを直接駆動に使う方が効率がいい高速燃費に関しては不利とされてきた。筆者が過去にe-POWER車を長距離試乗した時もその傾向が割とハッキリ出ていた。 が、最近e-POWERを搭載したミニバン「セレナ」を400kmあまりロードテストしたところ、実はe-POWER車の高速燃費がさえなかった主因はシリーズハイブリッドではなく、低負荷時には高効率だが高負荷運転時に熱効率が落ちるエンジンのせいだったのかもと思い直すようなデータが出た。 セレナのエンジンは日産が初めて発電専用機として開発した排気量1.4リットル、直列3気筒の「HR14DDe」だ。市街地や速度の高くない郊外路の燃費は、リッター22~24kmで推移するなど上々だったが、その領域では1.2リットルエンジンを積んだ旧型も十分に良い燃費を出せていた。 さて、問題の高速燃費である。東北自動車道を走ってみたところ、時速100km/hではリッター20kmラインをクリアし、時速120km/h区間で最も速い流れに乗って走っても、燃費の大きな低下は見られなかった。リッター15kmくらいに簡単に落ちていた旧型とは、雲泥の差というべき改善ぶりだった。 満タン法による実測燃費は、全ステージの平均でリッター21.6km。これはトヨタ自動車「ノア」のスプリット式や、ホンダ「ステップワゴン」のシリーズ・パラレル方式と比較しても引けを取らない値である。エンジンさえ良ければ、シリーズ方式でも欧米の高速ステージで十分戦えるのだ。 ほか、レベル4自動運転や、それをつかさどる人工知能(AI)に対しても、日産への業界評は意外に高い。利益率の低さに悩まされながらも年間6000億円レベルの研究開発費を投じ続けてきたのは、無駄ではなかったといったところか。 懸念点があるとすれば、日産が高効率をうたって北米モデルに幅広く投入した可変圧縮比エンジンがトラブル続きなこと。北米で日産の評判を落とす原因となっている。こういう顧客満足に直結する問題は、早期かつ誠実に解決していかないとブランドイメージを毀損するばかりである。 ◆壊滅的にダメな点をさらに詳しく知りたい人は、『ホンダと統合しても消えない日産の大不安、海外営業担当が激白する“病巣”とは 』をご覧ください。
井元康一郎