「手足口病の子を段ボール箱で隔離」は間違っている? 医師の見解と保育士の本音を聞いてみた
2024年の夏は、手足口病が過去最悪とも言われるペースで感染が広がり、未だ警報基準値を上回る都道府県もありました。子ども同士から始まり、大人へも感染しやすい手足口病に苦しめられた親は少なくないです。 【マンガ】「集中力が高い子ほど、乳幼児期に体験している「フロー状態」とは? そんな中、福岡県の保育園で手足口病の0歳園児を段ボール箱で隔離されていたことで、市から園が改善を指導されたことが報道され議論を巻き起こしています。 SNS上でも段ボールの箱に入れて隔離するという行為に対してそれを批判する声と、保育園側の対応もやむを得ないと擁護する声、それぞれが上がっています。 五良会クリニック白金高輪の理事長であり、竹内内科小児科医院の院長でもある五藤良将医師に、手足口病に関する詳しい情報をお聞きしつつ、また現場で苦闘する保育士の方の本音もお聞きしました。(取材・文/吉澤恵理)
手足口病からまれに重篤な合併症を引き起こすことも
Q1: 手足口病とはどのような病気でしょうか? 五藤医師「手足口病は、主にコクサッキーウイルスやエンテロウイルスによって引き起こされるウイルス性感染症です。主に5歳以下のお子さんがかかりやすい病気ですが、大人でも感染することがあります。 典型的な症状としては、軽度の発熱、口腔内にできる潰瘍(水疱)、そして手足に現れる水疱性の発疹が挙げられます。時には、口の周りや臀部にも発疹が出ることがあります。通常、これらの症状は7~10日程度で自然に治まりますが、まれに髄膜炎や脳炎といった重篤な合併症を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です」
水疱が乾燥するまでは特に注意が必要
Q2: 手足口病の感染力はどの程度でしょうか? 五藤医師「手足口病は非常に感染力が強い病気です。特に発症初期が最も感染しやすい時期となります。感染経路としては、感染者の唾液、鼻水、便、または水疱の液体を通じて拡散します。 水疱が乾燥するまでは感染のリスクが高いため、この期間は特に注意が必要です。また、大人も感染する可能性があり、家族内での感染がよく報告されています。大人の場合、症状が軽度で自然に回復することが多いのですが、時には発疹や倦怠感などの症状が強く出ることもあります」