キアヌ・リーブス、ケリー・スレーター、眞木蔵人etc. 憧れの人物から考察!「スタイル」ってなんだ?
三浦 10代の頃はトム・カレンと(ブラッド・)ガーラックが好きだったな。トム・カレンはチャンピオンで、正統派。
ガーラックはちょっとアンダーグラウンドな感じだけど、すごくスタイリッシュ。対照的だったね。
種市 ケリー(・スレーター)もスキンヘッドにしてから雰囲気出てきたと思います。いろいろ削ぎ落とされてカッコ良くなってる。 スノーボーダーでいうと……うまい人=スタイルある人かというと、必ずしもそうではない気がして。テクニックは凄いけど何か自然体で格好良く見えない人もいるし、その逆もあるような。
渡辺 わかる気がしますね。サーフィンにしろスケートにしろ、試合や競技だと勝つのが到達点じゃないですか。でも勝負に勝たなくても、さらにいえば表舞台に出てこなくても、カッコいいスタイルを持つ人たちは大勢いて。 原 僕のアイコンは立川談志師匠なんです。それこそヘアバンドを買ったこともありますが、着けるとさすがに家から出られないっていう。 (一同笑) 種市 でもインスパイアされますよね。談志のようなスタイルになるための、俺の武器はなんだろうって。人間性からいくか、ファッションからいくか。
原 人間性の憧れは談志師匠ですが、スタイルの憧れはスパイク・ジョーンズ。ストリートムービーの制作とか、その仕事もめっちゃクールで。 渡辺 好きなものがはっきりしていますよね。スケートが好きで、写真撮って、ビデオ撮って。やっぱりカッコいい。原さんはカルチャーありきのファッションが好きなんですね。 原 背景あるカルチャーが大事かなと。僕はサーフィンをやらないから、自分がサーフブランドを着たらおかしいなと思うんです。聴いたことのないバンドのTシャツを着るのにも抵抗がある。 種市 僕の場合、ファッションに振り切って思いきり楽しんでいるならリスペクトしちゃう。とにかくこの色が好きだとか、手持ちの服とすごくバランスがいいからとか。そういう理由ならアリだと思う。 渡辺 どちらもわかります。「本人レゲエじゃないのにボブ・マーリーのTシャツってどうなの」的なことは、確かに僕らの世代にはあった。でも今の若い子たちは全然気にしていないし、ファッションとして成立している人もたくさんいます。 原 そのカルチャーを通っていなくても、スタイルになりうるんですね。 種市 そこに愛があればいいんですよ。
原 ドリス・ヴァン・ノッテンがとある海外誌のインタビューで「ファッションではなくスタイルを作りたかった」と言っているのを読みました。 超要約ですが、そのスタイルを作るテクニックのひとつが「真逆のものを組み合わせる」こと。スウェットシャツにスパンコールを合わせるとか、テーラードにゆるいシャツを合わせたりとか。 渡辺 その公式こそ、ファッションになりやすいとも言えますね。自分のようなストリートの男がかちっとしたジャケットを着ると、何だか面白い。スーツの人がスニーカーを履くと、それがスタイルに見える。合わせ方のレシピが、ドリスはすごく巧みなんです。 >後編に続く 箱島崇史=写真 加瀬友重=文
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