荒れにくいSNSはどこへ?前澤氏も猛抗議「SNS上の悪質詐欺広告」はどこが深刻か
個人においても、不適切な投稿に対して削除依頼を出しても、なかなか対応してくれないという話はよく聞く話だ。 一方で、警察庁の調査によると、2023年のSNS型投資詐欺の被害は全国で2271件あり、被害額はおよそ278億円にのぼっている。しかも、昨年6月から件数は増加している。 日本で起きている問題について、Meta本社側がどのくらい把握しているのか、どのくらい本気で取り組もうと思っているのか、疑問に思わざるを得ない。
こうしたところに、グローバル化による弊害が出てきてしまっている。 ■放置され続けていたインターネットの問題広告 インターネットの黎明期から、違法広告は問題であったし、健全化が求められてきた。インターネットが海のものとも山のものともつかない時代であればやむを得ないところもある。しかし、現在においては、インターネット広告費は、マスコミ4媒体の広告費を超えるところまで成長している(下図)。 メディアの信頼性は、コンテンツの信頼性と広告の信頼性によって成り立っている。成長していく過程で、メディアは健全化の道を模索するようになる。そうしなければ、成長は頭打ちになり、継続的な発展は望めなくなってしまう。実際、マスコミ4媒体は、そのような道を辿って現在に至っている。
2018年から、NHK「クローズアップ現代+」などで数度にわたって「ネット広告の闇」の特集が組まれ、インターネット広告が抱える様々な問題が提起されてきた。 詐欺広告に限らず、インターネット広告は、誇大広告や虚偽表記(「ナンバーワン広告」など)、広告効果を水増しするアドフラウド、ステマ(ステルスマーケティング)、なりすましなどのフェイク広告、違法サイトへの広告配信など、様々な問題を抱えていることが明らかにされている。
問題があることが明確でありながら、根本的な対応が取れないのはなぜなのだろう? インターネット広告の健全化が図れない理由としては、下記のような特殊事情がある。 1. 広告取引が自動化されており、不適切な広告を排除することが難しい 2. メディアも広告主も変化が激しく、違法広告も多種多様かつ変化が激しいため、取り締まりが困難 3. 既存のメディア企業と比べて、インターネットメディアやプラットフォームはルールや規制を好まない傾向がある