更生し大学にも合格した非行少年 「君を信頼する」彼を変えた大人の言葉【テレビ寺子屋】
◆社会復帰を果たし大学にも合格
そして、いよいよ審判(裁判)の日を迎えます。裁判官が処分を言い渡す時、彼の目をじっと見て、「私は一回君を信用する。社会に戻りなさい」と伝え、「保護観察」になりました。 そこで彼に関する私の仕事は終わりましたが、何年か経ち一通のハガキが届きました。 差出人はその彼で、「菊地さんが言った通り定時制に行きました。そして、この春、僕は大学に合格しました。しっかりした社会の一員になれるようにがんばります」と、書かれていました。嬉しかったですね。
◆信用して見守る姿勢が与える影響
これは私が担当した少年事件の中でもうまくいった例ですが、彼の頑張りと、「君を信頼しよう」という裁判官の言葉、さらに「頭がいいぞ、勉強してみろ」と伝えたことが大きかったのだと思います。 大人から「君を信頼する」「勉強したらいい点取れるぞ」なんて言われたことなどなかったのではないでしょうか。 子育ては難しいと思いますが、褒めたり、ある程度信用して見守ってあげるというような大人の姿勢が子供にどれだけ影響を与えるのか、改めて勉強させられた事件の一つでした。
菊地幸夫:中央大学法学部卒業。元司法研修所刑事弁護教官。テレビでの法律相談やコメンテーターとしても活躍。弁護士業務の傍ら体力作りにも勤しみ、地元小学生のバレーボールチームの監督も務める。 ※この記事は11月3日にテレビ静岡で放送された「テレビ寺子屋」をもとにしています。
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