大学志願者数1位の近畿大学 立役者は広報戦略
2014年度の私立大学一般入試の志願者数で、近畿大学(以下、近大=大阪府東大阪市)が10万5890人で初の全国1位になった。関西の大学が首位になったのは、今回が初の快挙だ。昨年まで4年連続トップだった明治大をはじめ、関東の人気校や、関関同立をおさえての、堂々の1位。その背景として、「近大マグロ」による知名度アップや完全ネット出願の実施などが挙げられるが、影の立役者には、大学広報の“攻め”の姿勢にあったという。
■他大学との横並びを廃止 外部に依存しない宣伝活動 近大が出す広告には常にインパクトがある。新聞広告にしても駅のポスターにしても、必ず目に留まるものを作っている。「ネット社会ですから、面白い広告はすぐ広まります」と、広報部の世耕石弘さん。逆に、「目立たない広告は出さない」と、他大学との横並びの広告は一切取り止めた。 ただインパクトがあるだけではない。「キャッチコピーもほぼ自分たちで作っています。うちの大学をよく知っていないと作れませんから」。熟知して、周知させる。これを徹底し、「プロの広告マンも養成していきたいんです」と、宣伝活動を外部だけに依存することなく、自前部隊の強化を行っている。 ■マーケティング調査の成果 完全ネット出願 予備校や塾、高校など現場での説明もしっかり行う。その際、高校生の実態調査も忘れない。現役高校生の実態を把握することで、広告の出し方も変わってくるという。完全ネット出願(インターネットでの願書の提出)へ踏み切れたのも、このマーケティング調査の成果だ。時期を読むことができたから「今年」という勝機を逃さなかったのだ。 「近大エコ出願」と称して行われた完全ネット出願。今年度の一般入試では、全国で初めての試みだった。2年前から、これまでの紙と併用で導入を始めたが、「受験料の3千円割引」という特典もさることながら、「紙の願書だと書くのに1~2時間かかる。スマホからでも出願できるし、15分で書けた」という志願者から評価を受け、今年度は“紙”を完全撤廃した。こういったニーズの掘り出しはマーケティング調査あっての成せる技だろう。