ホンダと日産、経営統合の〝深層〟トランプ・ショックと村上ファンドの影 EV補助金撤廃、追加関税も影響か 「トヨタグループと戦える余地」
日産はフランスのルノーとの資本関係を見直し、対等の立場となった。だが、株価はここ1年で4割近く下がり、時価総額は日系自動車9社中6位と低迷している。日産株が取得しやすい状況で、旧村上ファンド系とされるファンドによる日産株保有も表面化し、経営陣は対応を迫られている。
自動車ジャーナリストの佐藤篤司氏は「日産は商品でニューカラーを出せていないが、ホンダはN―BOXシリーズや、フリードが『日本カー・オブ・ザ・イヤー2024―2025』に選ばれるなど、商品力もある。技術を含めて互いに足りない部分を補えば、将来的には『トヨタグループ』と『ホンダ・日産・三菱グループ』の国内勢2極で戦える余地が出てくる」と語る。
専門家「化学反応起こせるか注目」
ホンダは本田宗一郎氏が1948年に創業して以来、基本的には独立路線を維持してきた。だが、近年は米ゼネラル・モーターズ(GM)と燃料電池車(FCV)などで協業し、異業種のソニーグループともEVで提携している。
2040年に世界で販売する新車を全てEVとFCVにする「脱エンジン」戦略を掲げるが、一方で次世代ハイブリッドシステムなどエンジンの開発は続行している。
ホンダと日産の統合協議は実を結ぶのか。
雑誌「経済界」編集局長の関慎夫氏は「『100年に1度』の変革の波で、設備投資や研究開発費を考えると両社は組まざるをえないのだろう。トランプ氏の関税政策も含めて、どんな状況でも生き残る体制を作っておくことが今の企業経営者に求められる。海外でもドイツのダイムラーと米クライスラーの統合がうまくいかなかった例もある。〝役人体質〟が抜けないといわれる日産と、自由闊達なホンダが組むことで化学反応を起こせるかが注目だ」と見通した。