【解説者対談】鹿取義隆×平野謙 2022序盤戦を斬る!
G大勢とS石川はなぜすごい
写真左が平野謙氏、右が鹿取義隆氏
BIGBOSS日本ハム、ロッテ・佐々木朗希の完全試合、さらに阪神の泥沼の連敗……。交流戦を前に、開幕から話題と波乱が続く2022年を野球解説者・平野謙氏、鹿取義隆氏に分析してもらった。2人は黄金期の西武でチームメートだったこともある。 ※情報は5月22日現在 平野 巨人の大勢はどう? サイドの抑えで「鹿取二世」でしょ。 鹿取 誰もそんなこと言ってないでしょ(笑)。球が違います。僕は、あんな強い球は投げられなかった。ナチュラルだと思うけど、彼の球はいいときは変化して、悪いときはそのまま来るから、バッターは軌道が分からないと思いますよ。先発では計算できない悪いボールになるかもしれないけど、短いイニングなら大きな武器です。ヒジの故障歴もあるので、これからの使い方は課題かもしれませんけどね。 平野 巨人は菅野(菅野智之)が5勝してるけど、防御率も3点台だし(3.02)、盤石とは言えないよね。 鹿取 菅野はよくやっていると思いますよ。ただ、周囲の比較対象が2年前になっている。あのときの投げれば勝つ勢いは今はありません。スライダーは同じだと思いますが、真っすぐはシュート回転が多く、弱くなった印象があります。ただ、それでも十分な球威はあるんで、もっと真っすぐ主体にしたほうが楽に組み立てられる気もしますけどね。 平野 セ・リーグの上位3強は混戦だけど、どのチームも投げれば絶対に勝てるというピッチャーがいない。勝てなくても、このピッチャーなら試合はつくってくれるという投手が3人いたら戦いが楽になるんだけどね。そのあたりが今の団子状態になっている気がするな。 鹿取 確かにそうですね。首位のヤクルトにしても規定投球回は誰もいない。田口(田口麗斗)、マクガフとリリーフがよく、村上(村上宗隆)を軸として打線はうまくつないで得点していますが、(故障離脱の)奥川(奥川恭伸)がいたら、もっと走っていたかもしれないですけどね。 平野 石川(石川雅規)もなんだかんだで2勝だから頑張っているよね。 鹿取 彼は球が遅過ぎて打てないという珍しい投手ですよね。 平野 真っすぐが遅い分、逆にシンカーと球速差がないんだよね。腕の振りも軌道も同じだから、真っすぐと思って打ちにいくと、すっと変化する。あれは打ちにくいよな。 鹿取 カープも頑張っています。鈴木誠也が抜け、決定打がない印象でしたけど、打ち出すと止まらない。 平野 長打がなかったから、打線がつながればいいけど、つながらないと点が取れなかった。今はホームランも出てきたね。 鹿取 ドラゴンズはどうですか。 平野 古巣だし、一番一生懸命見ている。大した補強もしなかったけど、指揮官(立浪和義監督)が変わるとチームは変わるんだなとは思っている。ただ、頑張ってはいるけど、ピッチャーが完全に抑え込んでいるわけじゃないでしょ。少なくとも、柳(柳裕也)、大野(大野雄大)と右左のエースが確実に試合をつくってくれるなら、少しずつでも上がってくる可能性はあるかなと思うけどね。 鹿取 リリーフに不安がありますよね。抑えのR.マルティネスはいいけど、そこにつなぐまでが弱い。 平野 マルティネスはいいね。彼が出たら相手ももうあかんなと思うからね。球が速いから変化球も生きる。ただ、打線がな……。 鹿取 打率はともかく、ここぞの一打が出ないですね。 平野 特に四番のビシエドがね(得点圏打率.214)。 鹿取 それが分かっているとピッチャーも投げやすいんですよ。 平野 根尾(根尾昂)はどう思う? 二刀流は別にいいけど、ポジションを外野かショートかで固定したほうがいいと思うんだけどね。 鹿取 固定してもらうためにも課題はバッティングですね。僕は昨年ファームの試合を見ることが多かったんですが・・・
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週刊ベースボール