【北陸新幹線】敦賀から先のルート決定先送り 富山県内の反応は
KNB北日本放送
北陸新幹線の新大阪延伸をめぐり、与党の整備委員会は先週金曜日、今年中のルート決定を断念しました。難工事が予想される京都市内のルートが提示されて4か月あまり。京都の反発が大きく、新大阪までの全線開業への道のりは不透明なままです。岸谷記者のリポートです。 与党整備委員会 西田昌司委員長「地元合意ができないと工事が進められないわけで、最短で行うためにも、まずは地元の同意が得られることを最優先でやりたい」 北陸新幹線の福井県敦賀から西、新大阪までの全線開業をめざす延伸計画。先週金曜日、与党の整備委員会は、年内のルート決定を見送ることを決めました。 検討されていた、福井県敦賀から小浜を経由し京都方面を目指す「小浜・京都ルート」。今年8月には、京都駅の位置について3つのルート案を示し、年内に1つに絞る方針でした。 しかし先週金曜日の会合では、京都駅の東西方向を通る案を外し、現駅の南北方向を通る案と現駅から離れた「桂川駅」付近に設ける案の2案に絞り込むにとどまりました。 いずれのルートも京都市内をトンネルで抜けることから、地元では強い懸念や反対の声があがっています。 京都市民の声「京都北部の豊かな自然を破壊する」「私たちの声も聞かないで工事をすることに、住民の怒りはとても大きいです」 自然への影響、とりわけ地下トンネルの建設による地下水への影響を懸念する声が大きくなっています。 酒づくりの担い手からは。 京都府酒造組合連合会 大倉博会長「地下水こそ酒を造るまさに生命線」伏見酒造組合 北川幸宏理事長「本当に伏見の地下水に影響を与えないルート設定なのか、慎重に判断いただきたい」 京都市 松井孝治市長「酒造りだけではなく、京料理や染織など京都の生活文化、産業文化を支えてきた水に対する懸念を申し上げました」 これに加えて、京都仏教会は今月19日、新幹線延伸をめぐり「計画は千年の愚行であり、再考を強く求める」とする申し入れ書を西脇京都府知事に手渡しました。 地下水への影響だけでなく、工事で発生する膨大な量の残土の処理をめぐり「市民生活に悪影響が出るのではないか」と訴えているのです。 一方、石川県内で再考を求める声が強まっている「米原ルート」について、先週金曜日の会合では。 西田委員長「米原ルートの場合は、そもそも今の形で行くと必ず乗り換えしなきゃならない。我々がもう一度新たにそのコースを再検討するという必要がないということは、もうこの委員会で何度も確認をしているわけです」 これに対し、元大阪府知事・大阪市長の橋下徹さんはSNSのXに「小浜ルートなんて実現でけへんで。実現にこだわるなら米原ルートしかない」とつづっています。 ルート選択の混迷が続くなか、富山県内の旅行・観光関係者は「新幹線を関西に早くつなげてほしい」と訴えます。 県旅行業協会 桶屋諭喜会長「(敦賀延伸で)時間短縮になったんですけど、やはり(敦賀駅での)乗り換えが皆さんの負担になっている。日本の中心部にある富山県ですから(関東・関西)両方の情報を取りながら、両方の方々と意識をしながら、やっていくというのは、理想だなと言うふうには思います。そういう意味でも、早期着工というのは県民の願いであり、私ども旅行業界の願いでもあると思います」 北陸新幹線は来年3月、金沢までの開業から10年、敦賀延伸から1年を迎えます。しかし最終的な目標、新大阪までの延伸については、依然として見通しが立っていません。