犯行の指南書「恋愛詐欺師のマニュアル」とは 被害男性が語る“だまされた”理由
■具体的な手口や口実
男性に恋愛感情を抱かせ、金銭的な問題を抱えているなどの虚偽の事実を告げて多額の金銭を詐取する恋愛詐欺師。 マッチングアプリなどで知り合い、好意につけこまれ、金銭をだまし取られた30代から40代の東海3県に住む複数の男性に話を聞いた。 男性自身が思うだまされてしまった理由として、以下のような回答があった。 ・恋人や結婚相手が欲しいという欲求を上手く利用された ・今までの(男性自身が思う)恋愛経験の低さ ・被告のトークスキル、人懐っこい文面や素振り ・未来を感じるような会話 恋愛詐欺師の不審な点についてはー ・金銭を貸すときに戸籍謄本を取らなかった ・泊まりの約束を反故にされ、絶対に会わなかった ・通話が終わったらすぐ電話を切られた ・いつも1時間程度で解散する など不審な点はあったという。 しかし、恋愛詐欺師は「いなくならないよ」や「大丈夫、心配しないで」などと言葉巧みに嘘を言って男性を安心させ、多額の金銭をだまし取った。 金銭をだまし取った後は、だんだん連絡がつかなくなってしまったということだ。
■SNSでの被害男性へのバッシング
SNS上では男女の年齢差を揶揄する投稿など被害男性へのバッシングがしばしばみられる。 年齢差が気になってしまうと、不安を男性が女性に吐露したところ、「大丈夫!全然気にしないよ」「世の中には(年齢差のある男女が)いっぱいいるじゃん」などと言われ、相手を信じきってしまったようだ。 詐欺事件の被害者であるにも関わらず、とある被害者の男性はSNS上で多くのバッシングにあい、睡眠障害やPTSDを発症したという。 被害弁済もなくSNS上でもバッシングされていることで、男性はだまされた自分が悪かったのかと自問自答している。
■犯罪心理学の専門家は?
人間環境大学犯罪心理学科の皿谷陽子講師と山脇望美講師に話を聞いた。 恋愛詐欺における出会いはマッチングアプリからの発展も考えられるという。マッチングアプリは真剣交際を求める多くの男女が登録している。 そのため、真剣交際を希望する人々の中に恋愛詐欺師は紛れていて、真剣交際を希望する女性と恋愛詐欺師を区別するのは簡単ではない。 詐欺師の女は10代、20代と若い一方で、被害者の男性は40代以上と年齢差が大きいことも特徴だと言う。 2人の講師によると恋愛関係において、金銭を要求された場合は詐欺行為を疑ったほうがいいということだ。 恋愛詐欺師の手口として ・相手側に好意があるように振る舞う ・悲しい生い立ちなどを話して同情させる などのパターンがあげられる。 恋人を助けてあげたいという男性の気持ちにつけこむのだ。 2人の講師は「自分も被害者になるかもしれないと思うことが大切」だと話す。 そうしたリスク認知をしっかりして、少しでも不審に思ったら、周りの人や窓口などですぐに相談することも大切だと警鐘を鳴らしている。 (メ~テレ・愛知県警察担当 高岡晃広)