ユニクロ「柳井正氏に頼らない」仕組み化の中身 熱意だけでは従業員を変えることはできない
もちろん過去のデータを分析するなど、これまでの延長線上で判断できる部分もありますが、それだけだと機会損失を防げません。過去のデータからAIがベースになる販売計画は出してくれますが、AIはデータにもともとない状況には対応できませんので味つけが必要になります。既存のデータだけでは「本当はお客さまが欲しているのに、商品がないから呼び込めていない」状況は防げないのです。 ■スタッフの仕事は、経営者の仕事そのもの
ひとりひとりのスタッフの役割は、自分の担当分野でそうした機会損失を最小限にしながら、売り上げや利益を最大化することになります。カバーする範囲は小さいにしても、やっている仕事はまさに経営者の仕事そのものです。 スタッフは、それまでは店長に言われるがままに機械的に仕事をこなしていただけだったので大きな変化を求められますが、ものすごく特別なことを求められるわけでもありません。 重要なのは考えられるか、想像力を発揮できるかどうかです。どんなお客さまにこの店舗に来ていただけているのか、なぜこの店に来ていただけるのか、シーズンごとにどんなニーズを持っているのかを、自分で考えてみる、想像してみるのがファーストステップになります。お客さまのニーズを自分なりに考えてみます。
たとえば、「来週はこの地域では運動会が多いから、運動会に参加する保護者用のニーズを取り込む品ぞろえにしてみよう」と仮説を立てて動いてみます。もちろん、店全体での陳列や見せ方もあるので、店長も交えてそこは調整、修正します。
宇佐美 潤祐 :元・ファーストリテイリンググループ執行役員