【解説】八丈島で50センチの津波 震度1以上の揺れ観測地点なしもナゼ津波発生?海底火山に原因か
■マグニチュード6前後の地震で津波発生、鳥島近海に何が… 過去にも60センチの津波発生--教訓生かし、先に津波注意報発表
今回の地震の震源近くは、これまでにも地震の規模が大きくなくても、津波が発生している特異な場所です。 ▼1984年M5.9 ▼1996年M6.2 ▼2006年M5.9 ▼2015年M5.9 2015年は今回とほぼ同じ規模の地震でしたが、震度1以上を観測した地点もありませんでした。しかし津波が発生し八丈島で60センチを観測しています。このとき、気象庁は八丈島で津波を実際に観測したため、それから津波注意報を発表しました。そのときの教訓で、この震源付近では地震の規模がそれほど大きく無くても津波が起きる可能性があるため、今回は地震のあと、震源が決まった直後にすぐに津波注意報を出しています。 いずれの地震も「須美寿島」という島の周辺でおきています。この「須美寿島」、東京都心から南におよそ480キロにある島で高さは130メートルほどの無人島です。 この「須美寿島」の周辺では、9月18日に海上保安庁が上空から調査を行った際、海水が変色しているのが見つかりました。これは7月に続いての出来事でしたが、海水が変色するということは海底で噴火がおきたり、火山ガスが出ていたりする可能性があります。このため海上保安庁などは、海底噴火に警戒して、船などが近づかないよう航行警報を出していました。
■巨大な火口「須美寿カルデラ」 周辺でおきる地震・津波と火山の関係は
「須美寿島」の北側には、須美寿カルデラと言って、大きくくぼんでいる場所があり、その周辺には、火山活動が続いている海域があります。その1つが「須美寿島」です。 今回、津波をひきおこした地震のメカニズムは、海底を下から突き上げるような現象によるもので、海底を押し上げる時に海水を動かして津波を発生させた可能性が高いとみられています。 この付近の、地震や津波と火山活動の関連を調べている東京大学地震研究所・三反畑助教によると、さらに詳しい分析が必要としながらも「トラップドア断層破壊」という、海底のマグマが海底の岩盤を押し上げて津波を発生させる現象がおきた可能性が高いとしています。 そして今後も、地震の規模が小さくても、こうした現象によって、この付近では津波発生の可能性があり注意が必要と話しています。 伊豆諸島や、小笠原諸島周辺の海域では海底火山の影響で、今回のように通常の地震でおきる津波と異なるメカニズムで津波が発生することがあります。 大きな揺れがおきたら津波に注意!ということは言われますが、揺れを感じない場合でも津波がおきることもあるのです。 さらに、東北や北海道地方の沖合の陸地から離れた場所で大きな地震がおきた場合は、陸から離れているためから、揺れが小さかったり、感じなかったりすることがあります。しかし津波発生の可能性がありますので、津波の情報には十分注意してください。