「相続税の滞納」なぜ増加?5つの原因と「本当に必要な対策」とは?【専門家が解説】
● 知らないと怖い! 相続税を滞納するとどうなるか 相続税が払えない場合には、一体どのようなペナルティが待ち受けているのだろうか。 申告期限である10カ月以内に申告書が提出できないと、無申告加算税が加算されてしまう。無申告加算税は、最大、相続税額300万円を超える部分に対して30%課税される。また、納付期限を超えると「延滞税」も加算される。 さらに隠ぺいで申告が遅れたとみなされると、重加算税までプラスされる。重加算税は非常に重いペナルティであり、納付する相続税に対して40%も課税される。 相続税申告・納付の遅れや隠匿は、何のメリットももたらさないことがわかるだろう。
● 複数の相続人のうちの誰かが 相続税を納付しないとどうなる? 複数の相続人がいる場合、自身が取得した財産に応じた相続税を納めることが一般的だ。基本的に誰か1人が代表して納付するものではない。では、別の相続人が相続税を納付しなかった場合には、どのようなリスクがあるのだろうか。 結論から言うと、他の相続人の滞納に関しても、自分が支払うよう税務署から請求される可能性がある。なぜなら、相続税には「連帯納付義務」があり、相続人全員が連携して相続税を支払う必要があるからだ。遺言書で財産をもらう場合も同様であり、相続人が複数いる場合には注意が必要だ。なお、本来支払うべき相続人が税務署から納税猶予や物納を認められた場合は請求されない。 「相続財産を使い切ってしまった」「元々仲が悪く連絡しあう関係ではない」といった事情があっても、税務署は考慮してくれない。遺産分割協議や遺言書による財産の分配時に、いつ相続税を納付するのか確認しあっておくことも検討しよう。 納付が遅れそうな相続人がいる場合、代表者が支払うことも可能だが、贈与とみなされる可能性もある。相続税は注意したいポイントが多いため、必ず税理士に相談した上で手続きを進めてほしい。