「父にカッターで顔を切られた」女性が全身に刺青を入れた理由「辛い過去を“乗り越える”意味がある」
左耳の聴力がなくなってしまった出来事
ここまででも目を背けたくなるが、ある男性との交際・結婚をきっかけに、るいるいさんの人生はさらに下降を始める。 「勤務していたマッサージ店の経営者と交際中、妊娠しました。結婚することになりましたが、怒りの沸点が異様に低い男性で、たびたび暴力を受けました。首を絞められたり、タバコを向けてきて『焼くぞ』なんて脅すのも、普通にありました」 たとえば、こんな些末なことで不条理な暴力を受けたという。 「ご飯を作りすぎてしまったときは、『食費が無駄だろうが』と言ってひっくり返され、殴られました。『ひっくり返すのが無駄じゃない』と抗議をすると、追撃がきます。とにかく話の通じる人ではないんです。またあるときは、友人と遊ぶ約束をしていたのですが、突然『遊ぶな』と言い出しました。でも友人はもう自宅まで迎えに来てくれていて。そうしたら、激昂した彼に張り手をされ、私は意識が飛びました。気がつけば救急車を呼ぶ事態になっていて。その影響で、現在でも私は左耳の聴力がありません」
妊娠中に「洗剤を無理矢理飲まされた」
当然、妊婦への配慮など皆無だ。こんなエピソードもある。 「成田山にお参りに行ったときのことです。ただでさえ人混みで移動がしづらいことに苛立っていた彼は、つわりが酷くて早く移動できない私に怒りの矛先を向けてきました。妊娠しているから配慮してほしい旨を伝えても、『だったらお腹の子ども殺せよ』と怒鳴って私を引きずり回します。たくさんの人にぶつかって、私はひたすら謝っていた記憶があります」 結婚相手の暴力は妊娠中も、そして子どもが生まれてからも、止むことはなかった。そればかりか、危険は子どもにまで及んだ。 「妊娠中、ささいなことでキレて、すぐに『子ども殺せ』と怒鳴るんです。あるときは洗剤を無理矢理飲まされて、病院で胃洗浄を行うことになりました。別のときは包丁を持ってきて『腹を刺せ』と言って殴られるなど、散々でした。包丁の一件のときは、彼の会社で働く従業員もいたのに、止めてくれることはありませんでした。スーパーで私がボコボコに殴られたときも、警察を呼んでくれる人はいましたが、誰も止めたりはしないんだなと思いましたね。生まれてからも、泣き声に苛ついて子どもを殴る、などは日常茶飯事でした。現在、離婚することができてよかったと思っています」