「生活保護」受給者が増加 景気好転なのになぜ?
今年の春闘は、デフレ脱却を目指す安倍政権からの賃上げ要請もあって、大手企業の多くでベア(ベースアップ)となりました。その一方、生活保護を受けている人の数は、2013年12月時点で216万7220人。1年前の215万1165人に比べて約1万6000人も増えています。アベノミクスで景気は回復傾向にあると言われており、生活保護の受給者の数も減るはずなのに、なぜ、増え続けているのでしょうか?
広がる経済格差
金融広報中央委員会が発表している「家計の金融行動に関する世論調査」(2013年)によると、「あなたのご家庭では、現在、金融資産を保有していますか」という質問に対して「金融資産を保有していない」と答えた世帯が31.0%もあります。これは1963年に調査が始まって以来、最も高い数値です。 「金融資産を保有している」と答えた69.0%の世帯の金融資産の平均保有額は1645万円。年々、ゆっくりと増えていく傾向にあります。一方、金融資産残高についての問いに「減った」と答えた人の理由の1位は、「定例的な収入が減ったので金融資産を取り崩したから」が40.9%で、生活の厳しさを反映しています。 データからは、お金のある人は資産を殖やし、お金のない人は資産を減らし、格差が開きつつある状況がうかがわれます。
高齢化で増える生活保護
生活保護受給者の増加は、現在社会の問題を反映しています。最も大きな理由として挙げられるのが、高齢化の進行です。2013年12月時点で生活保護を受けている高齢者の世帯数は72万2149。1年前に比べて、4万世帯以上増加しています。 景気が上向いても、年金が増額されない限りは高齢者の収入が増えることはありません。増額どころか減額されている現状では、生活保護を受ける高齢者が増えていくのは、無理もありません。一方、母子家庭は11万5631世帯から11万2456世帯へ3337世帯減っています。ただし、アベノミクスの影響によるものかどうかは、もう少しようすを見て、多角的に検討する必要があるでしょう。