「生活保護」受給者が増加 景気好転なのになぜ?
深刻な勤労世代の生活保護
生活保護の受給者は従来、高齢者や障害者、母子家庭に多かったのですが、近年の傾向として目立つのは、20代~50代の勤労世代に増えていることです。働き盛りとされる41~49歳の人の場合、2008年の11万6457人に比べて、3年後の2011年には19万809人と大幅に増えており、厳しさがうかがわれます(年齢別データは2011年が最新)。 このような生活保護の増加に対して、国はどのような施策を行っているのでしょうか? 昨年12月、生活保護法の改正が行われました。生活保護を抜けた人が勤労者としてのスタートを切りやすくするため、生活保護から抜けるときには「就労自立給付金」が支給されることになりました。 また、生活保護の一歩手前にいる人々を支援する生活困窮者自立支援法も成立しました。求職活動を行う失業者への家賃補助や、自治体による相談窓口の開設と就労支援などが柱となっており、2014年4月の施行に向けてモデル事業が始まっています。 しかし、勤労世代の生活保護対策について言えば、やはり景気を回復させる政策が根幹となるでしょう。アベノミクスの経済効果により大企業の業績が上がり、それが中小企業まで波及していくには、あと1~2年かかるかもしれません。 (広沢大之助・社会科編集者)