女がコーイヌールを手にした時、愛は失せ、男は死に至る…衝撃を受けた宝塚のショー『ジーザス・ディアマンテ夢の王の夢』
100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第89回は「『ジーザス・ディアマンテ~夢の王の夢~』」のお話です。 (写真提供◎越乃さん 以下すべて) 【写真】今も大事に持っている『タカラヅカ・グラフィティ』 * * * * * * * ◆衝撃を受けたショー 急に見たくなった宝塚のショーの動画。 仕事の待ち時間の控室、携帯で動画を探しまくりました。 あった! そのショーは1990年星組で上演された『ジーザス・ディアマンテ~夢の王の夢~』。 宝塚をほとんど知らずに入った私が、音楽学校時代に映像で見て衝撃を受けたショーです。 トップスターは日向薫さん。 トップ娘役は毬藻えりさん。 2番手は紫苑ゆうさん。 3番手は麻路さきさん。 それはそれはゴージャスで、立ってるだけで華やかで、歩くだけでキラキラしていて、えも言われぬ4人の存在感。 それぞれの個性が確立していて、それでいてバラバラにはならない統一感と空気感。 誰を見てもため息が出るゴージャスな方々。 そして、度肝を抜かれるプロローグの衣装! この豪華で不思議な衣装を誰がここまで着こなせるでしょうか? 現役時代の私もとてもとても着こなせる自信はありません。 このショーは、ゴージャスで華やかなどという言葉ではかたづけられないほどのスケールで、私を別次元に連れて行きました。 宝塚ってなんかすごい… 非日常感に溢れた宝塚という世界。 もうすでに音楽学校に入っていましたが、私の宝塚との正式な遭遇はこの『ジーザス・ディアマンテ~夢の王の夢~』でした。 強烈なファーストインプレッションでした。 あまりにも好きすぎて、音楽学校時代に散々真似をして歌い踊っていました。 同期最後の現役生、星組組長の美稀千種さんと。 今でもプロローグは全部歌って踊れる自信はあります。