M―1連覇、令和ロマン高比良くるまが語る漫才理論 〝過剰考察〟がベストセラーに「僕には世界を表現する自分がない」
くるまさんが吸収し発想したものをケムリさんにぶつけ「正解」を求める。これが、令和ロマンがネタを作り上げるサイクルだ。だが、自らは勝負に臨むにあたり、事前に分析や対策をするタイプではないという。「単純にその場の勝負に強いです。空気読んだりするのが得意」と話す。 ▽過剰な言い回し、その理由は 吉本興業に所属しているので、各地の劇場で漫才をする機会が多い。2024年は約600ステージ。お客さんの反応を見て、ネタに微調整を重ね完成度を高める。吉本所属芸人の強みと言えるだろう。 だからこそ舞台での場数が少ない他事務所の実力派芸人への敬意は強い。「人の前で笑わせるって基礎の基礎なんで、それができないと本当に無理。特にコンビ感とか呼吸とか筋トレみたいなもんなので。ザキヤマさん(アンタッチャブルの山崎弘也)があんな久しぶりに漫才やってうまいって、本当に天才だと思う。(相方の)柴田(英嗣)さんも」 2021年M-1優勝の錦鯉、22年優勝のウエストランドやモグライダーを例に挙げ、「あんなちょっとしか(舞台で)やってないのに、何で新ネタができて決勝まで行けるの、信じられないですよ」と話す。
「お笑いの悪魔に魂売った」と対談で粗品さんに評されたくるまさん。「過剰」と題したように自分でも行き過ぎ、考え過ぎとも思っている。「(お笑いについて)考えてる人がいっぱいいるんで、読んでもらって『え、そんなに考えたの。じゃあ、考えるのやめるわ』って思ってほしい。『この先、危険』みたいな看板と思ってほしい」 今のテーマは「お笑いを全然見たことがない人にどうやったら漫才を見てもらえるか」ということ。「ユーチューブやテレビ番組でセンセーショナルな言い回しで気を引いているけど、それは結局『漫才を見に来てくれたらいいな』って感じ」。悪魔に魂を売った男の考察は続く。