両リーグ最多「22失策」で「バント攻め」の餌食に…阪神優勝のカギを握る「佐藤輝明」、岡田監督ガマンの采配はいつまで続くか
エラーのほとんどは送球ミス
その22個のエラーを改めて調べてみたところ、送球ミスが13、後逸が3、ファンブルが5、送球の捕球ミスが1。「タイムリーエラー」も3つ記録していたが、1日の巨人戦のように佐藤がエラーしたイニングの合計失点は「22」にもなる。サトテル劇場にイライラさせられているのは指揮官だけではないようだ。「13」の送球ミスについて、こんな情報も聞かれた。 「大げさではなく、サトテル劇場から怪我人が出るかもしれませんよ」(NPB関係者) というのも、佐藤の一塁送球は右に逸れることが多い。一塁を守る大山悠輔(29)が左手を伸ばしてアウトにしてくれたシーンも少なくない。しかし、「右に逸れる」ということは、右利きの大山が本塁側に左手を伸ばすことになるので、突進してくる打者走者にぶつけてしまう恐れもある。左手を本塁側に伸ばした勢いで打者走者に体の正面を向けるので、「打者走者と正面衝突」なんてことにもなりかねない。 「8月12日の東京ドームでの巨人戦でしたが、二死二塁の場面で岡本和真の強い打球が三塁線を襲いました。佐藤が捕球したのと同時に、三塁ベンチから岡田監督が『ワンバン!』と叫びました。佐藤の悪送球で1点が入り、それが決勝点となりました」(スポーツ紙記者) 岡田監督は無理をせず、ワンバウンドで確実に送球しろ、という意味で叫んだ。その声はベンチ横のカメラマン席にも届いたので、試合後の一問一答でも、取り上げられた。岡田監督は「オレ一人で叫んでいた、恥ずかしかったわ」とムッとした表情で吐き捨てたが、当の佐藤は「迷いはなかった」と最初からノーバウンド送球するつもりでいたことを明かしていた。 「佐藤も右に送球が逸れる悪癖は分かっています。二軍降格から再昇格してきたころなんですが、送球フォームが少し変わりました。肘の位置を少し下げてスリークォーターぎみに投げるようになりました。でも、上から投げ下ろす従来のスローイングで投げるときもあるので本人も迷っているみたい」(前出・同) また、8月17日の中日戦では、岡田監督に「野球観の違い」とまで言わせたミスを仕出かしてしまった。2点リードで迎えた9回裏、二死満塁の場面で中日の代打・福永裕基(27)の放った打球が三遊間に転がった。遊撃・木浪聖也(30)が頭から飛び込んで打球を止めた。 「快音が聞かれた瞬間、レフト前ヒットだと思いました。木浪はよく止めました」(前出・在阪記者) 佐藤も追ったが、間に合わなかった。そのまま後ろ歩きで三塁ベースに戻ろうとし、その動きを見ていた木浪が佐藤に送球した。普通の二塁走者なら、三塁ストップするところ。しかし、二塁走者の俊足・尾田剛基(24)はスピードを緩めず、本塁に突入した。 三塁ベースに後ろ歩きで戻った佐藤が木浪からの送球を捕球し、振り返ったがそこには尾田はいなかった。尾田が生還して5対5の同点。チームは延長12回まで戦い、引き分け試合となった。佐藤は二塁走者が三塁で止まると決め付けていたのかもしれない。その試合後、岡田監督は報道陣の前で、 「(二走の尾田が)見えていなかったのと、見ていなかったのは違う。野球観の違い」 と、佐藤を酷評した。 その後も佐藤の失策は続き、9月1日は巨人のバント攻撃の標的にされたわけだ。