中国がタイで「クラ地峡」運河を建設? 実現可能性はあるのか
日本含むアジア全域の発展に貢献
国際機関や日本をはじめとする世界各国からの支援によって、陸路で東南アジア、南アジア地域をつなぐクロスボーダー物流を実現する経済回廊の建設が行われています。ただし、ミャンマーやバングラデシュ、インドの東北部は未開発な地域がまだまだ多く、鉄道や道路がつながっていないミッシング・リンク部分もたくさんあります。また、国をまたぐごとに税関手続きが必要であるため、各国の税関のシステムの整備も必要です。 このように陸路の経済回廊建設はまだまだ課題が多く、各国の政治状況にも左右されるため整備されるまでしばらく時間がかかることが予想されます。このため、陸路に比べれば海路のほうが便利であるのが実情です。クラ地峡を横断する運河が出来れば、海路の利便性も格段に高まります。 将来的に陸路と海路双方でアジア地域の物流ルートが発展すれば、日本とアジア各国との経済的なつながりも多くなることが期待できます。さらに、世界規模で見た場合も、日本を含めたアジア全域の経済発展に大きく貢献し、アジア地域の欧米に対する影響力拡大へとつながるでしょう。 (西本紫乃/元在中国日本大使館 専門調査員)