長嶋茂雄氏は打席でズルしていた!? 稀代の“ホームランアーチスト”田淵幸一氏が語ったON秘話 実は巨人から「背番号2」を約束されていた
長嶋氏直伝の呼吸法
田淵: オールスターのときに、ミスターに「何で息づかいが荒いんですか」って聞いたことがあるんですよ。キャッチャーしてて、長嶋さんの打席でそう感じてたんです。 そしたら、「ピッチャーがリリースしてボールを投げるときに息をスーッと入れてお腹に全部持ってくんだよ。それで、来たボールに対してフーッと吐くんだ」と。それを教わったんです。 徳光: それをバッティングに生かしたんですか。 田淵: 生かしたんです。オールスターのとき、ベンチでミスターとしゃべると、ほんとに勉強になりました。
王氏の連続HR王をストップ
田淵: ホームランを打つとお客さんが喜ぶじゃないですか。ここぞというときに打ったら、(スポーツ新聞の)一面を飾れるし、お客さんは喜ぶし、「酒がおいしかった」と言われる。そういう夢を与える。 徳光: ホームランを量産するようになって、王さんと戦えるようになったって思ったのはいつ頃ですか。 田淵: 5年目くらい。37本打ってから。 徳光: だんだん近づいていって、昭和50年についに王さんを超えるわけですよね。王さんを一つの目標にしてたんですか。 田淵: そりゃそうよ。何でホームランが増えたかっていうと、王さんのおかげなんですよ。 徳光: どういうことですか。 田淵: 足を上げるようになった。大学時代は全然足を上げてなかったんですよ。 「王さんは何で足上げるのかな」と思って、キャンプでまねしてみたらボールが飛ぶようになったんです。「よし、いただき。力がなくてもタイミングだけで飛ぶな」って感じてね。 徳光: 王さんはふくらはぎが異常に発達していて、その力でボールがよく飛んだという話を伺ったことがあるんですけど、田淵さんも、やっぱり足腰が強いんじゃないですかね。 田淵: 弱い、弱い。虚弱体質ですもん。非力ですよ。 徳光: ほんとですか。田淵さんが非力だっていう話はちょっと驚きなんですが…。あれだけホームランをぽんぽん打ったのに。 田淵: 力があれば飛ばせるものじゃないんですよ。 徳光: 王さんが打席に立ってるときは、どう感じましたか。 田淵: 無言。絶対しゃべんない。しゃべるような雰囲気を持たせない。 徳光: 作らないわけだ。 田淵: 構えたら、どこを押しても倒れないんじゃないかっていうぐらい。足から根が生えてましたよ。
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