“動画配信の王者”Netflixにライバル勢が猛追、台風の目はYouTubeの本格進出
分断・多極化する世界で、新しい視界を開くことができるか。日本が向かうべき道とは――。『週刊東洋経済』2024年12月28日・2025年1月4日合併特大号の第1特集は「2025年大予測」だ。株式・マネーから日本の政治経済、世界情勢、産業・企業動向、そしてスポーツ・エンタメまで。2025年の注目テーマを徹底解説する。 【この記事の他の画像を見る】 動画配信サービス大手のNetflix(ネットフリックス)とAmazon(アマゾンプライムビデオ)にとって、2025年は日本に上陸してから10年目の節目の年になる。
ここにきて普及拡大の追い風が吹く。背景として両社のアジア地域へのコンテンツ投資の増加が大きい。英国の調査会社アンペアアナリシスによれば、両社が2024年上半期にアジア発のドラマ・映画に投じた額は北米発のそれを上回り、全体の3割を超える。アジア発の物語に需要があることを示す。 会員数の伸びも顕著だ。中でもネットフリックスが2024年12月4日に公表した会員数(24年上半期時点)を見ると、世界全体で2.8億世帯を超え、うち日本国内は1000万世帯の大台に達した。「視聴者が求めるクオリティーに応える」(ネットフリックスコンテンツ部門の坂本和隆バイス・プレジデント)という制作方針で、熱量の高い作品を生み出してきた結果だ。不動産詐欺事件を扱ったドラマ「地面師たち」の台詞が流行語大賞のトップ10に入るなど、ヒット作を連発する。
■王者の強み 王者ネットフリックスの強みは、予算規模からテーマ性、技術面に至るまで、劇場映画や地上波テレビでは難しい題材を成立できることにある。これに賛同するクリエーターと役者が後を絶たない。 それは、2025年の作品ラインナップから見ても明らかだ。向田邦子の傑作をリメイクした「阿修羅のごとく」は是枝裕和が監督・脚色、宮沢りえ、尾野真千子、蒼井優、広瀬すずが物語の中心となる四姉妹を演じて、昭和の香りをよみがえらせる。