はやぶさ2、高精度タッチダウンでリュウグウの“牙”に挑む
成否を左右する5つのチェックポイント
はやぶさ2のタッチダウン運用は、2月20日から既に始まっています。はやぶさ2は21日からゆっくりと降下していき、22日午前6時頃、高度500メートルに到達する予定です。運用チームは、この地点から送られてきたデータを見て、タッチダウンを行うかどうかの最終的な判断を下します。実施が決断され、はやぶさ2に指令が送られると、そこから先はプログラムに従って、はやぶさ2が自律的にタッチダウンを試みます。 タッチダウンには5つのチェックポイントが設けられていて、それぞれのポイントをクリアできないとはやぶさ2が判断すれば、自動的にタッチダウンのプログラムを中断し、上空20キロのホームポジションへと戻っていきます。 最初のチェックポイントは、「高度45メートルまで問題なく降下できているか」です。はやぶさ2はこの高さからタッチダウンに向けたアクションを本格化させます。機体の向きも変化するので、地球への通信は、通信速度が遅いものの、信号が届きやすいローゲインアンテナへと切り替わります。 2番目は、投下済みターゲットマーカーの捕捉です。ピンポイントタッチダウンは、ターゲットマーカーの位置を基準にして着地地点を割り出していくため、ターゲットマーカーを発見できなければ、狙った場所に降りることができません。高度45メートルでターゲットマーカーを発見したら、カメラの視野の真ん中に捉えながら高度8.5メートルまで降下します。 3番目のポイントは、「LIDARとLRFの引き継ぎがしっかりと行われているか」です。8.5メートルへの降下中に、高度を測定するセンサーがLIDARからLRFに切り替わります。しっかりと切り替えて近距離での高度計測を正確に行う体勢を整えます。 4番目のポイントは、表面に想定以上のデコボコがないかをチェックすることです。目標となるL08-E1の中心地は、ターゲットマーカーから5メートルほど離れています。高度8.5メートルまで来たら、はやぶさ2はL08-E1に降りられるように水平移動をします。このとき、目標地点の状態を再度確認し、予想より大きな岩塊がありそうな場合は運用が中止されます。 そして最後は、リュウグウの表面に対してきちんと静止することです。リュウグウは1回転7.6時間の速度で自転しています。カメラの端でターゲットマーカーをぎりぎり捉え、自転速度に合わせて飛行することで、はやぶさ2はリュウグウに対して静止した「ホバリング状態」になります。そして、この時点で最終的な着地体勢を整え、準備ができたら着地予定地の中心を目掛けて落下していくのです。