はやぶさ2、高精度タッチダウンでリュウグウの“牙”に挑む
タッチダウンの接地時間は「1~2秒」
このような手続きを踏んで、はやぶさ2はL08-E1の中で差し渡しが一番長い、半径3メートルの円の中に着地できるように制御されます。タッチダウンは日本語で「着陸」ともいわれますが、はやぶさ2がリュウグウの表面と接するのは、機体の底面から伸びているサンプラホーンという筒状の先端部分だけです。しかも、接地時間は1~2秒程度と短いものです。着陸よりも「着地」と表現した方が実情に合っているでしょう。 サンプラホーンがリュウグウの表面に触れると、弾丸が発射され、表面を覆っている岩石を壊します。そして、舞い上がった破片や塵などを、試料としてサンプルキャッチャに収納するのです。 すべての作業が終了すると、はやぶさ2は上昇に転じます。はやぶさ2のタッチダウンは22日午前8時頃の予定ですが、地球でその成否を確認できるのは午前8時45分前後だと考えられています。今回のタッチダウンは、はやぶさ2の安全を最優先し、運用中止する条件が厳しめに設定されています。これらの条件をクリアして、はやぶさ2が無事にタッチダウンできるのか、注目していきましょう。
----------------------------- ■荒舩良孝(あらふね・よしたか) 1973年生まれ。科学ライター。「科学をわかりやすく伝える」をテーマに、宇宙論、宇宙開発をはじめ、幅広い分野で取材、執筆活動をおこなっている。主な著書は、『ニュートリノってナンダ?』(誠文堂新光社)、『5つの謎からわかる宇宙』