大江キャスターが直撃! 日銀・黒田前総裁に聞く「植田日銀」「経済展望」【WBS】
12月20日の東京外国為替市場では一時、1ドル=157円台後半まで円安が進行しました。日銀の植田総裁が19日の会見で、追加の利上げに慎重な姿勢を見せたことから円が売られたと見られます。こうした中、日銀の黒田東彦前総裁に単独でインタビューしました。ことしの植田日銀、そして来年の経済の展望について聞きました。 20日、テレビ東京ホールディングス、日本経済新聞社などの主催で開かれた年末エコノミスト懇親会。ひときわ大きな輪の中心にいたのが、黒田前総裁です。その黒田前総裁に大江麻理子キャスターが直撃しました。 「利上げが来年1月にあるか注目されています、利上げできる体力は?」(大江キャスター) 「それ(利上げ)自体が非常に大きな経済にマイナスのインパクトを与えることはない。これ以上の金融緩和は必要ないので、中立金利に向けて徐々に金利を上げていくプロセス」(黒田氏) 金融引き締めの植田総裁の路線を高評価した黒田氏。その黒田氏の大規模金融緩和については、日銀が19日発表した過去25年の金融政策について検証した「多角的レビュー」でこんな記載があります。 <当初想定したほどの物価上押し効果は発揮しなかったが、全体としてみれば、わが国経済に対してプラスの影響をもたらしたと考えられる>
黒田氏の路線について効果があった反面、大規模な国債買い入れで金利を低く抑え込んだため、国債市場の機能が低下するなどの副作用もあったと指摘しました。 「多角的レビューでは、黒田さんの総裁時代も振り返った。受けとめは?」(大江キャスター) 「非常にまともな真面目なレビュー。物価安定目標に向けた着実な前進というプラス面と、副作用の面も分析して指摘しているので。15年間デフレでマインドセットが賃金も物価もなかなか上がらないという。なかなかマインドセットが壊れるのに時間がかかった」(黒田氏)
来年の経済見通しは?
一方、来年のキーワードとして黒田氏が挙げたのは、やはりあの人物です。 「トランプ大統領が何するかという点。それが来年の世界経済に決定的な影響を及ぼす」(黒田氏) 既に中国やメキシコ、カナダからの輸入品に対して関税の引き上げを明言しているトランプ次期大統領。こうした経済政策がアメリカのインフレ率を押し上げる可能性など、足元ではリスクがくすぶります。 「来年は今年以上に不確実性が高まりそうですか」(大江キャスター) 「トランプ政権でどういう政策がとられ、それがインフレを再認させればFRBも金利を上げざるを得ない。そこが一番大きな不確実性。それ次第で世界経済がどういうふうに動くか一番わからない」(黒田氏) 世界経済に不確実性が広がると予測した黒田氏。一方、来年の日本経済については「2%の物価安定目標が安定的・持続的に達成されるような状況になっている。日本経済自体は非常に順調な成長経路に乗っている」と話します。 「来年はデフレ脱却宣言が出せるくらいの状況に?」(大江キャスター) 「そうなると思います」(黒田氏) ※ワールドビジネスサテライト