古のTT・F1マシンを彷彿とさせる、ネオレトロレーサーレプリカGS1200SS
マニアックな作りは、近年再評価されつつある
GS1200SSはカウル類は専用にデザインされたものであるが、車体の基本は同じ油冷エンジンを積むイナズマ1200がベースとなっている。いわゆるネオレトロバイクであるイナズマをベースに、レトロレーサーのレプリカを作るというのはある意味正しかったのかもしれない。その作り方はまさに80年代のレーサーであり、デザインはよくまとまっている。ヘッドライトはGS1000Rが右寄りに丸型ライトを配置した一灯タイプだったのに対して、丸目ニ灯になっている。GSX-R750/1100が丸目ニ灯をセンター寄りに配置していたのに対して、GS1200SSは左右の少し離れた位置にライトが配置されているのでイメージはかなり異なる。このあたりは好き嫌いの範疇になってしまうのだろうが、筆者的には思い切ってGS1000Rのように一灯タイプにしてしまった方が良かったのでは無いかという気もする。 エンジンは先にも触れたようにイナズマ1200とほぼ同様の、油冷式DOHC4バルブ直列4気筒1156ccで、最高出力74k・W(100PS)/8000rpm、最大トルク94N・m(9.6kgm)/6500rpmというスペックにチューンされている。ちなみにイナズマ1200は最高出力74k・W(100PS)/8500rpm、最大トルク10kgm/4500rpm、バンディット1200は最高出力74k・W(100PS)/8500rpm、最大トルク93N・m(9.5)kgm/6500rpmと兄弟社ではあるがチューニングは微妙に異なっている。ミッションは5速であり、ギア比はバンディット1200と同じである。 足回りもタイヤサイズがイナズマ1200と同じであることを考えるとイナズマベースと考えられるが、フロントのブレーキキャリパーに6ポットが採用されるなど変更点は見受けられる。フロントフォーク径は43mmとイナズマと同径、リアサスペンションはアルミ製の角形スイングアーム+ツインショックで構成される。 ポジションはセパレートハンドルを採用しているものの最新のSSほどきついものではなく、思っているよりも普通に乗れるというのもこのバイクの魅力のひとつで、肩肘張らずに付き合えるというバイクでもある。新車販売時には最新SSの影に隠れて早期に販売終了してしまったGS1200SSだが、近年そのマニアックさが再評価され、生産台数も少ないため相場は鰻登りという状況になっている。
GS1200SS主要諸元(2002)
・全長×全幅×全高:2115×765×1220mm ・ホイールベース:1460mm ・シート高:770mm ・車両重量:232kg ・エジンン:油冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒1156cc ・最高出力:74kW(100PS)/8000rpm ・最大トルク:94N・m(9.6kgm)/6500rpm ・燃料タンク容量:20L ・変速機:5段リターン ・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク ・タイヤ:F=120/70-17、R=170/60-17 ・価格:91万円(当時価格)
後藤秀之