「中国のアップル」シャオミが、世界最速で「1兆円」の企業価値をあげたワケ【有名実業家が解説】
飲食店開業をゴールにAくんが実際に行ったこと
それからのAくんは、本書で述べたことを徹底しました。まず人とのつながりを大事にし、人間関係を広げていきます。そして食の情報を発信し、食事会のようなイベントを開催したり、開業へ向けた勉強会を開催したりして、地道に自分のコミュニティを作っていきました。 彼のコミュニティには、自分と同じように「飲食店をやりたい」と思っている人が多い。「それなら」ということで、仲間と2人で「飲食店型のレンタルスペース」を開業することから独立したビジネスを開始します。 食のコミュニティを運営していますから、このスペースを利用したい人はすぐに集まります。昼間はパスタ屋さんで、夜は貸し切り用のレンタルスペース。5年間で同じような施設をもう1つ。さらに東京の港区でイタリアンレストラン経営も始めました。 そうした店舗を運営しながら、満を持して8年目で、自分でも料理を作るラーメン店にチャレンジしました。つまりAくんは、別々の4店舗を運営しながら、自分でも料理を作る料理人という、珍しいタイプの実業家になったのです。その経験を活かし、他の店にアドバイスするコンサルタントの仕事も引き受け、情報発信によってコミュニティを拡張させています。 不思議に感じる方もいるでしょうが、Aくんのように、実業家としてさまざまな仕事を運営しながら、自分の好きな仕事をしている人は大勢います。
多角経営がうまくいく理由
たとえば他の仲間には、メインでは不動産会社を運営し、さらに飲食店をやり、また趣味的にファッションの小売店を運営している人もいます。大きなコミュニティがあるから立ち上げには困らないし、新規のお客さんを新たなコミュニティメンバーにするのもお手のものなので、経営がうまくいく。節操なくいろんなことをしているようで、実はちゃんとお金が回る仕組みを作っているわけです。 実は、こうした“億万長者”というのは日本に古くからいます。たとえば、商店街に古くからある小さなパン屋があって、おばあちゃんが1人で店を切り盛りしている。「大丈夫かな?」なんて初見客は思います。ところが、そのおばあちゃんは、そのエリアにある多くの学校の給食にパンを提供している。そのすべての学校から収入が入ってくるばかりでなく、パン屋もちゃんと固定客で黒字になっているから、放っておけばお金持ちになっているわけです。 嶋村 吉洋 実業家。投資家。映画プロデューサー
嶋村 吉洋