悲願の箱根駅伝へ「ラストチャンス。走らないわけにはいかない」 関東学生連合チーム「復活」にかけた主将の思い
■プロランナー川内優輝も応援 古川さんは、東大や東京工業大学(現・東京科学大学)などの陸上仲間に呼びかけて、関東学連の決定を覆すためのプロジェクトチームを23年4月に結成。関東学連と話し合った。 そんな古川さんの活動を応援し、知恵を授けてきたのは、学習院大学時代に関東学連選抜(現・関東学生連合)チームの一員として箱根駅伝を走ったプロランナーの川内優輝さん(37)だった。 川内さんは、今回の事態を関東学連選抜チームが編成されなかった14年の第90回大会と重ねる。 「あのときも今回と同じように、東大などを中心に『それはおかしい』という声が上がり、第91回大会から選抜チームが復活したんです」(川内さん) ■連合チームからパリ五輪 古川さんらの呼びかけで関東学連加盟校代表者の1/3以上の署名が集まり、23年9月に臨時総会が開かれた。しかし、連合チームの編成は「賛成90票ほど、反対100票ほどの僅差で否決された」(古川さん、以下同)。 昨年1月の第100回大会の後も、連合チームの復活は発表されなかった。 「箱根で走る」という目標が見えないなか、3月、飛鳥ハーフマラソン(奈良県)に出場した古川さんは、久しぶりに川内さんと対面した。 「『連合チームは強い選手を育てることに貢献している』『本当に応援している』と、川内さんから勇気づけられました」 連合チームの復活が、関東学連から伝えられたのは昨年5月になってからだった。 「ほっとしたというか、拍子抜けしました」 「連合チーム」はいわゆる“救済措置”ではない、「存在意義」がある。「世界に通用するランナーを育成したい」という箱根駅伝の創設者、金栗四三(かなくり・しそう)の思いを具現化してきた。 たとえば17年、東京農業大学の小山直城選手は連合チームのメンバーとして箱根駅伝に参加。4区を参考記録ながら1時間5分47秒と、区間10位相当のタイムでたすきを渡した。その経験をもとに飛躍し、パリ五輪の男子マラソンに出場した。 ■文武両道の道 だが、「箱根で走りたければ、駅伝で実績のある大学に入ればいい」という意見もある。それに対して、古川さんはこう語る。 「私が故郷の九州から東大大学院を目指したのは、やりたい研究を一番いい環境でできること、そして箱根駅伝があったからです。勉強を頑張りながら、連合チームの一員として箱根を目指すチャンスがあってもいいと思う。多様な選択肢をつぶさないでほしい」