「スパイ映画の悪役」を忠実に再現 1台限りの “超高級セダン” 公開 ロールス・ロイス「ゴールドフィンガー」
映画『007/ゴールドフィンガー』の劇中車をオマージュ
英国の自動車メーカーであるロールス・ロイスは10月25日、映画『007/ゴールドフィンガー』に登場した劇中車へのオマージュとなる特別仕様車「ファントム・エクステンデッド・ゴールドフィンガー(Phantom Extended Goldfinger)」を発表した。 【写真】「金の延べ棒」も装備!? 純金を惜しげなく使用したロールス・ロイスの特別仕様車【ファントム・エクステンデッド・ゴールドフィンガーを写真で見る】 (15枚) 映画の公開(1964年)から60周年を記念した1台限りのワンオフ車で、現行型のファントムをベースに、黒と黄色の塗装仕上げやゴールドのゴルフパター、舞台となった米国フォートノックスの架空の地図など、ストーリーや背景にちなんだ仕様となっている。 作中では、クラシックなファントムIIIが主人公ジェームズ・ボンドの敵役として登場した。今回の1台は、英国を拠点とする顧客(熱心なボンドファン)のために製作され、「これまでに製作された中で最も広範囲に及ぶエンジニアリングと手作業による特徴」を備えているという。 象徴的なツートンカラーの塗装はもちろんのこと、センターコンソールの18金の延べ棒(ファントム・スピードフォームの形にカットされている)や、トランクリッドのゴールドのゴルフパターも装備する。 引き出し式のピクニックテーブルには22カラットの金象嵌でフォートノックスの地図が刻まれ、スターライト・ヘッドライナーには1964年の撮影時に舞台のフルカ峠の上空に見えたであろう星座を再現するなど、随所に趣向が凝らされている。 他にも、顧客の要望で、トランクリッドを開けると007のロゴがトランク内に映し出される。また、作中で使用されたデザインにちなんで、赤、青、緑、黄色のハーレクイン柄の傘が2本、リアドアに取り付けられている。 「黒と黄色だけでオリジナルに似せて作ることもできたかもしれませんが、もっとやりたかったのです」と、担当デザイナーのニック・ローズ氏は言う。 「オリジナルを進化させつつ、映画のストーリーも語れるようなものにしたいと考えていました」 開発段階では「すべてをゴールドにする」という案もあったそうだが、「それよりももっと洗練されたものにしたかった」という。 ダッシュボードに刻まれたフルカ峠の地図などの「イースターエッグ」を隠すことで、「ストーリーをもう少し伝えることができる」とローズ氏は語った。 ロールス・ロイスのマスコットであるスピリット・オブ・エクスタシーも、映画のストーリーにちなんだ特別な仕上がりが施されている。作中では、悪役のオーリック・ゴールドフィンガーがファントムIIIのボディに金を隠し、密輸しようとしていた。これを再現するため、スピリット・オブ・エクスタシーを銀で覆って純金の本体を隠しているかのように、一部に金をのぞかせている。 金を銀メッキすることは不可能であるため、ロールス・ロイスは純銀製のスピリット・オブ・エクスタシーを用意し、それを18金の金でメッキすることで「露出する金」効果を実現した。 「単純に金(のマスコット)を付けることもできましたが、もう少し踏み込んでストーリーを伝えることで、このクルマの役割をさらに高めることができました。誰かに言われるまで気づかないものです」とローズ氏は説明している。
ウィル・リメル(執筆) 林汰久也(翻訳)