パリ・コレ頂点のモード界の歴史 狭き門に日本勢が台頭 「御三家」に続くブランドは
世界のモード界の歴史
1854年 ルイ・ヴィトンがパリに旅行用トランク店を開店 1910年 ココ・シャネルがパリに帽子店をオープン 1921年 グッチがフィレンツェに工房兼店舗を構える 1946年 クリスチャン・ディオール創業 1970年代 ケンゾー(高田賢三)、イッセイミヤケ(三宅一生)がパリで人気に 1977年 森英恵が東洋人初パリ・オートクチュール組合正会員に 1980年代 コムデギャルソン(川久保玲)、ヨウジヤマモト(山本耀司)による「黒の衝撃」、日本ではDCブランドブーム 1990年代~2000年 大手資本による老舗ブランド買収の動きが加速。グッチがトム・フォードを、クリスチャン・ディオールがジョン・ガリアーノを、ディオール・オムがエディ・スリマンを起用するなど、スターデザイナーが老舗ブランドの「顔」になる 2011年 ジョン・ガリアーノが人種差別発言で職を追われる(2014年にメゾン・マルジェラで復帰) 2023年 LVMHのトップ、ベルナール・アルノーが米フォーブス誌の長者番付でイーロン・マスクを抜いて世界1位に
当初、賛否両論だったギャルソンとヨウジは、やがて欧米のファッショニスタからも愛され、デザイナーたちから尊敬のまなざしを向けられるようになり、多くの業界人が日本の素材を知るようになったという。 「迎合せず、自分たちの価値観を貫き、認めさせた。2人が固く閉ざされていた欧米のファッション界の扉を開けたからこそ、その後の日本ブランドも続き、日本の素材も求められるようになった」 現在、深井さんが可能性を感じているのは、メンズファッションだ。「男性の洋装は、長年凝り固まっていた。でも、今は違う」 性の多様性が追い風になり、男性のスカート姿もかつてほどは珍しくなくなった。メンズ向けのパールネックレスも人気商品になっている。こうした流れを作ったきっかけの一つは、コムデギャルソンのパリ・メンズでのショーだった。 パリ・メンズファッションウィークではレディースシーズンよりも日本勢の参加割合が大きく、6月にあった2025年春夏コレクションでは約70ブランド中15を日本勢が占めた。 異素材の掛け合わせや数々の別ブランドとの協業などで世界的人気を持つサカイ(阿部千登勢)、パンキッシュなテイストで支持層を広げてきたアンダーカバー(高橋盾)のほか、コムデギャルソン傘下でモード界でベテランの域に入りつつあるジュンヤ・ワタナベ(渡辺淳弥)、日本の歴史や文化を背景にした服づくりを提案するマメ・クロゴウチ(黒河内真衣子)など多彩だ。
朝日新聞社