中国のクオンツファンド、今年はアンダーパフォームに沈む恐れ
(ブルームバーグ): 中国のクオンツヘッジファンドはベンチマークを長年アウトバフォームしてきたが、今年はアンダーパフォームに沈む可能性がある。中国政府の景気刺激策を受けた9月下旬の株価急伸にこれらファンドのモデルが対応できなかった。
クオンツファンドのロングオンリー戦略は9月のリターンが中国本土株(プラス22%)を2ポイント下回り、年初来の超過リターンはマイナス0.1%となった。深圳市排排網投資管理によると、過去3年間はいずれも16ポイント以上のアウトパフォーマンスを記録していた。
マーケットニュートラル戦略の9月の成績はマイナス0.8%で、年初来ではマイナス2.5%となった。深圳市排排網によれば、同戦略はここ4年間、プラスのリターンが続いていた。
クオンツファンドのモデルは今年2月にも、選好する小型株の急落とその後の急反発に不意を突かれ、大きな損失を被っていた。当局のクオンツファンドへの監視の目が強まる中、こうしたケースの増加は高リターンをうたってきた同業界の魅力をさらに損なう恐れがある。
海南正仁量化私募基金管理管の劉旭暉会長は、「多くの運用マネージャーの超過リターンは、銘柄選択能力から得られる純粋なアルファではなく、小型株への市場型エクスポージャーによるものだった」ことが示されたと指摘。「特定の市場パターンに適応した従来のクオンツモデルは、今年起きたような急激な変動には対応できない」と説明した。
中国のクオンツファンドは通常、マルチファクターモデルを用いて、株価が上昇する可能性のある上場企業の特徴を特定している。 過去に小型株がアウトパフォームしたことから、近年、小型株に過度に投資が集中していた。
上海満風資産管理のエドワード・リュー最高投資責任者(CIO)は「2月初旬に小型株が暴落し、政府の支援を受けて幅広い指数が上昇した際、クオンツの超過リターンは業界の『ワーテルローの戦い』でマイナスに転じた」とし、その時、多くのクオンツが上昇するベンチマークを追うために保有資産を組み替えたため、小型株からの資金流出が加速し、「パーフェクトストーム(複数の要因が重なって至る破滅的事態)」を招いたと説明した。