「S&P500」が日本の投信純資産で16年ぶり最高更新-米株高寄与
(ブルームバーグ): 米国株に投資する投資信託が国内最大の公募投信として、16年ぶりに純資産総額(上場投信やマネー・リザーブ・ファンド除く)で過去最高を更新した。個人投資家などからの資金流入が続く中、米株高やドル高が純資産を押し上げた。
記録を塗り替えたのは、三菱UFJアセットマネジメントの米国株インデックス型投資信託「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」。純資産総額は5兆7696億円となった。同社が28日夕、公表した。
ブルームバーグのデータによると、これまでの最高額は主要国の国債などに投資する同社の「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」(グロソブ)が2008年8月に記録した5兆7685億円。「S&P500」は16年ぶりにこれを上回った。
「S&P500」には8月までの1年間で1兆6500億円超の資金が流入していた。前週末25日のニューヨーク株式市場のS&P500種株価指数は終値ベースで小幅下落したが、28日に1ドル=153円台まで進んだドル高が記録更新を後押しした。
記録更新の背景には投資家層の変化もある。「S&P500」は信託報酬率が最大0.09372%と低いのが特徴。新NISA(少額投資非課税制度)やスマホアプリの普及を背景に若年層などが投資を始める中で販売を伸ばした。一方、「グロソブ」は毎月一定の分配金を払い、年金収入を補完したい高齢者などに選好されていた。
投信の純資産総額が大きければ、運用会社にとっては信託報酬の増加につながる。同社の「eMAXIS Slim(イーマクシススリム) 全世界株式(オール・カントリー)」も純資産を4兆5000億円超に拡大している。
半面、投資家にはとってはリスクもある。「S&P500」のように外国株式での運用に特化した投信には株価変動に加え、為替変動リスクも伴うためだ。米大統領選や中東情勢などの地政学リスクなどが波乱要因となる可能性もある。
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Satoshi Shizume