「阪神ナインよ、火・金に全力を!」下柳剛が提言する「”アレンパ”への逆襲策」
先発ローテの再編も一手
優勝というシーズン最大の目標を見据えた際、目の前の短期的な目標は「同一カード3連戦の勝ち越し」になる。同じ相手と組まれた3連戦を2勝1敗ペースで勝ち越していけば、自然とチームの勝ち星の貯金は上積みされていく。そう考えた際、カード頭を勝つか負けるかで、その後の2戦にかかる重圧が大きく変わってくる。 カード頭を勝てば残り2戦どちらかに勝てば勝ち越し。逆に負ければ残り2戦を連勝しなければ勝ち越せない。この心理的重圧の差は大きい。 そこでカード頭で確実に白星を得るため、先発はその時点で最も信頼の置けるピッチャーに任せたい。今の調子のよさを考慮すれば才木と西(勇)だろう。交流戦が終わるまで、この2人がカード頭に先発したことはなかった。交流戦が終わり、少し休みが入るタイミングこそ、先発ローテーション組み替えのチャンス。実際、交流戦明けの横浜とのカード頭には西(勇)が先発して好投した。
先に点を与えず、先に点を取る
交流戦では村上が4失点しながらも粘って完投したり、交流戦後に休みがあったりしたことでリリーフ陣は疲労が多少回復したはず。ここからは「とにかく先に点を与えず、なにがなんでも先に点を取る」野球を目指したい。 足を絡めた打線同様、ここでも必要になるのは「積極性」だ。交流戦の最終戦となった日本ハム戦で岡田監督は好投の村上に対して5回に代打を送った。早いタイミングでの投手に代打起用という、とても珍しい采配だった。つまり、好投の先発に代えてでも先に点がほしかったということ。 「阪神はリリーバーが豊富」という強みは絶対。であれば、投げ合いや接戦になる試合が多い今、先に点を取るための積極策がほしい。桐敷、島本、石井、岩崎、そしてゲラも2軍から戻ってきて、漆原もがんばっている。ここからオールスターまで、ピッチャー陣の総合力でなんとかもう一度勝利を積み上げていってほしい。
打線のキーマン・大山よ、壁を超えろ
投手陣ではダブルストッパーの一角・ゲラが2軍から戻ってきて、打者では主砲の大山が2軍から戻ってきた。交流戦明けの横浜戦では連日複数安打を放ちホームランも記録。復調の兆しを見せているけど、今最も問題である阪神打線、そのキーマンが彼であることは間違いない。 大山は交流戦中の6月5日に自ら進言して2軍に行ったと聞いている。真面目な性格で自分で背負い込みすぎ、悩み過ぎたんだろう。なんとか吹っ切ってほしい。でも彼に限らず、主力のバッターたちは一度落ちるところまで落ちたからあとは上がるのを待つだけ。そう信じている。 イエス・キリストの言葉に「神は乗り越えられない試練を与えない」というものがある。一生懸命取り組むほど試練=壁は出現する。大山は乗り越えられるから壁が出てくるのだと信じて努力するしかない。もう復活は間近だろう。彼が復活すれば打線も変わる。ファンの皆さんには長い目で見守ってほしい。 この先、場合によっては野手にも休養が必要かもしれない。ピッチャーは球数や登板間隔である程度休養の意識が浸透しているけど、同様に野手も毎日バットを振って守備をしているわけで疲弊しないわけがない。 ピッチャーが疲弊すればストレートの球威が落ちるように、バッターも疲弊すればスイングの鋭さが鈍る。これから勝負の夏場を迎えるにあたり、メジャーリーグのチームがやっているように野手を休ませてコンディションに配慮するのも打線の状態を上げる一手かもしれない。
【関連記事】
- 【もっと読む】球団史上初の連覇に挑む岡田阪神を、下柳剛が分析!チーム打率最下位で首位キープ…「打てない主軸」をカバーする「最強投手陣」強さの秘訣
- 阪神・岡田監督が異例の「4日間取材拒否」…その背景にあった、「ある選手」への尋常ならざる「愛」
- 「阪神優勝の確率はゼロ!いまのままではね」下柳剛が古巣の貧打に喝!「打てんのなら走れ!」
- 【交流戦開幕】昨季は負け越し…強力パ・リーグ打線に岡田阪神自慢のリリーフ陣は立ち向かえるのか?交流戦”を乗り切るポイントを下柳剛が緊急提言
- 交流戦前にセ首位に立つ阪神を下柳剛が徹底分析!ケガ人を出さない理由から自身が体験した岡田流チームマネジメント術まで…「強さの秘訣」を解き明かす